Echoes
0:雨が屋根を叩く音。チャイムが鳴る。間を置いて、チェーンをしたまま、ドアが少しだけ開く
ノア:…どちら様ですか?
リュカ:遅くに申し訳ありません。……こちら、エイブリーさんのご自宅ですよね?
ノア:(怪訝そうに)そうですが……君は。
リュカ:リュカ・ベネットと申します。エレンの、古い友人です。
ノア:エレンの?
リュカ:はい。しばらく連絡が取れなくて……様子が気になって、つい。
0:しばし沈黙
ノア:失礼ですが、エレンとは、どこで?
リュカ:大学時代の知り合いです。ウェストブリッジ大学。卒業してからは、ほとんど会えていません。……けど……学生時代は、親友でした。
ノア:(静かに目を細めて)……エレンの口から、君の名前を聞いた覚えはない。
リュカ:……そうでしょうね。あの人は、あまり過去のことを話す人じゃないから。
ノア:それで、どうしてここへ?エレンが、この住所を?
リュカ:ええ。あなたの話をよく聞いていたから。
ノア:(表情を変えずに)私の話を?
リュカ:(苦笑)大半は愚痴でしたけど。
ノア:…
リュカ:(慌てて)でも喧嘩するほど仲がいいって、ええ、本当に。それだけ、信頼してるってことじゃないですか!
ノア:(溜息)エレンはいない。
リュカ:戻るまで、待たせていただけませんか?
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