狐の癒し火は誰が為に
子ども:やだ!こっちに来ないで!
玉丸:(現在妖狐)待って!あなた怪我をしてるじゃない!
子ども:火!?誰か!誰か助けて!
玉丸:(〃)違うの!待って!これはあなたを傷つけるためじゃなくて…!
0:少しの間
玉丸:(〃)(M)雨が降るのに陽が差している。辺りには土の湿った臭い。雨が冷たい。身体も冷たくなってきた。
義仁:…大丈夫かい?
玉丸:(〃)陰陽師か…。女狐を狩りに来たのですか?
義仁:そんなつもりはないよ。こんなところで独りで…今にも消えてしまいそうだね。
玉丸:(〃)関係ないでしょう。
義仁:…そうか。どうかな?いっそ消えてしまうのなら、私の式になってみないかい?
玉丸:(〃)こんな力、何に使うのですか?
義仁:それは君が決めればいいさ。…時間がなさそうだ。儀式を行いたいのだが、攻撃してくれるなよ。
玉丸:(〃)く、来るな!燃やすぞ!
義仁:!!…あぁ。なんて綺麗な翡翠色の炎だ。
玉丸:(〃)…え?
義仁:では始めるね。「汝、その力を以て我の式となり、この血筋絶えるまで力となれ。名を…玉丸(ぎょくまる)とする。」
:
0:少しの間
:
玉丸:(M)雨の音、湿った土の臭い。目を開ければ、陽の光を感じる。…?少し視線が高い気が…。
義仁:今は異形に厳しいからね。なるべく人に近づけた。感覚に慣れるまで少し苦労するだろうが、許しておくれ。
玉丸:そうですか。
義仁:それじゃ行こうか。私の屋敷に案内するよ。
:
玉丸:(M)こうして、私はこの人の式となった。
:
0:義仁の屋敷
義仁:ただいま〜。
座敷わらし:よぉぉぉしひとぉぉぉ!!!
義仁:ゴフッ…!!
玉丸:え、えぇ!?大丈夫…?!
座敷わらし:ははは!お前の負け!これで俺は今日で10連勝!!
義仁:おまえぇ…。帰り際はやめろっていつも…。
座敷わらし:あは!気ぃ抜いてる義仁が悪いんだい!
ろくろ首:こらこら。また悪さしちゃって。義仁様、おかえりなさい。この度はお怪我はございませんでしたか?
義仁:あぁ、今怪我したところだ…。
座敷わらし:なぁなぁ!そのお姉ちゃん、誰だ?
ぬらりひょん:おぉ?坊やじゃないかぁ。帰ったのかね?
義仁:おぉ、ご老人。帰ったよ。
ぬらりひょん:ん?これはこれは。お主は玉藻の一派の…。これはべっぴんさんだ。一緒に酒でもどうかね?
義仁:いきなりおやめください。ご老人、この者は玉丸といいます。今日からこの屋敷に住んでもらうことにしました。
ぬらりひょん:ほっほっほ!また賑やかになるのぉ!
義仁:ということだ、玉丸!今日からここが君の家だ!まずは…そうだな、ろくろ首、玉丸に新しい替えの服を見繕ってあげてくれ。
ろくろ首:まぁ!いいですね!この屋敷には、無駄なほどお着物があるのよぉ。
義仁:おい…仮にも主人の前だというのに…。
ろくろ首:ささ、行きましょう!
玉丸:あぁ!ちょっと!
:
0:少しの間
:
ろくろ首:うーん、こちらの着物がいいかしら…。
玉丸:あの…。
ろくろ首:ん?どうしたの?
玉丸:あなたも妖…ですよね?
ろくろ首:ええ、そうよ!とは言っても、今は義仁様の式ですけどね。ここにいるのはみんな式よ。座敷わらしも。今はいないけど、天狗さんもいるわ。…ぬらりひょんさんはわからないわねぇ。…あ、この色良いかも…。
玉丸:…一体どんなことしてるんですか?
ろくろ首:最初は戸惑うわよね。戦いに使われたり、お屋敷のお世話をしたりかしら?
玉丸:た、戦い!?
ろくろ首:安心して、戦いといっても、天狗さんしか行かないから。私なんて戦い向きなことできないし…。あ、でも式になったら義仁様のお力が少しわけてもらえて、腕も伸びるようになったのよ!ホラ!これでお掃除も捗っちゃって!
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