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バンドマンと別れたら曲にされた件

『バンドマンと別れたら曲にされた件』

登場人物：
・橋本響（女）─大学生、面食い。
・松山美琴（女）─高校生、響のいとこ。
・藤田奏（男）─スリーピースバンド「夏の正三角形」のギターボーカル、響の元カレ。
・横溝紫音（男）─大御所ミュージシャン、奏が出演しているラジオの司会。
・ＣＭ─ラジオＣＭの音声。声のみの出演、兼役・事前録音可能。

○セットの指定

　　　舞台下手側半分は響と美琴がいるカフェ、舞台上手側半分は奏と紫音がいる収録ブース。
　　　舞台中央（カフェと収録ブースの境目）にラジカセが置かれている。
　　　響と美琴は主にＣＭ中に会話するが、ラジオの放送中もリアクションを取る。
　　　シーン区切りはラジオの放送中とＣＭ中を区別するために設けており、
　　　作中での場面転換はなし（常に下手側がカフェ、上手側が収録ブース）。

＊読み方について
　「音びより」＝「おんびより」

○放送中１（収録ブース）

　　　生放送中のラジオ局の収録ブース。
　　　舞台上手側にマイクや原稿が置かれた机があり、その両側に椅子が２脚ある。
　　　机の前にギターが立てかけられている。
　　　奏、下手側の椅子に座っている。
　　　紫音、上手側の椅子に座っている。
　　　時報のＳＥ。
　　　舞台上手側明転。

紫音　　「横溝紫音の」。
奏　　　「音びより」ー！
紫音　　　あら、お上手で。
奏　　　　ありがとうございます！
紫音　　　さあ、Ｂｅａｃｈ　ＦＭよりお届けしております「横溝紫音の音びより」。
　　　　　本日のゲストは新進気鋭のスリーピースバンド「夏の正三角形」より、
　　　　　ギターボーカルの藤田奏さんです。よろしくお願いします。
奏　　　　よろしくお願いします！
紫音　　　え、ぶっちゃけ緊張してる？
奏　　　　もうめちゃめちゃしてますよ！
紫音　　　全然ゆるい感じでいいからね。
奏　　　　だってもう、あの横溝紫音さんのラジオに自分が出てるって…
　　　　　信っじられないです。
紫音　　　いやー、まあ信じらんないよねえ。
　　　　　なんせメジャーデビュー曲が１０週連続ストリーミング再生１位だもんねえ。
奏　　　　あーすいません、ありがとうございます。
紫音　　　いい曲だよねえ、「ポラリス」。自分めっちゃ聴いてるよ。
奏　　　　えっ！ほんとですか！
紫音　　　ていうかね、毎週ラジオでかけてんの。
奏　　　　ええー！光栄です。
紫音　　　おかげさまで好評だよー、自分の曲よりウケいいわ。
奏　　　　あはは、またまたー。

　　　紫音、奏に手で合図をする。
　　　奏、ギターを持ち試し弾きをする。

紫音　　　さ、今日はそんな大ヒット曲「ポラリス」を特別に
　　　　　アコースティックバージョンで生披露していただけるということで。
奏　　　　はいっ、畏れながら紫音さんの前でやらせていただきます。

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