時空指定、承りました。
「時空指定、承りました。」

 キャスト
 タダシ(男)  タカシとルームシェア中
 タカシ(男)  タダシとルームシェア中
 ユウ(不定)   時空宅配便の配達員





(インターホン音)
 ピンポーン
 ピンポーン
 
 タダシ「悪い、出てくれん?」
 タカシ「え〜」
 ピンポーン
 タカシ「はいはい!すぐ出ます!」

(玄関前)
 ユウ「どうも、時空宅急便です。お荷物、こちらでお間違いないですかね?」
 タカシ「宛名…タダシ。合ってます。」
 ユウ「じゃ、ここにこのペンでサインお願いします。」
 タカシ「はいはい…は、何ですかこのペン⁉︎」
 ユウ「何か憑いてましたか?申し訳ございません。」
 タカシ「ちょ、どこの宅急便か、もう一回言っていただいても?」
 ユウ「時空宅急便です。」
 タカシ「はあ、時空ね…」
 タダシ(奥から)「どしたん?」
 タカシ「これお前宛なんだけどさ」
 タダシ「おん」
 タカシ「ちょっと見てよこのペン」
 タダシ「何さ……うおっ、すげえ」
 ユウ「あの、何か…?」
 タカシ「なんですかこの、やたらめったら近未来感あふれてるペンは!あと、“時空宅急便”て……まさか、時空超えてるとかないですよね?」
 ユウ「翔刻道路使ってるので、今回時空を超えていますね。多分、割増料金になっているかと。」
 タカシ「うわあ…!」
 タダシ「え? 割増なってたんすか?」
 ユウ「私はいち配達員ですから、料金の詳細は“シクテル”の方でご確認をお願いいたします。」
 タダシ「うぃっす。」
 タカシ「なにナチュラルに受け取ってんだよ⁉︎ 気になんないのかよこれ!」
 ユウ「ペンのことですか?」
 タダシ「あー…ごめんなさい、半分くらいしか聞いてなかったんすけど。高速使ったから割増だろ。なんか悔しいけど、こんくらい払うわ。即日配送頼んだの俺だし。」
 タカシ「あ、俺の聞き間違い? 恥ず……で、そのペンは? 何なんです?」
 ユウ「ええと、1ヶ月くらい前に文具スーパーで買ってきたサイン用のペンです。印鑑でもまあ構いませんが、どうされますか?」
 タカシ「いやいや、いいです使わせてください。へえ、すごいなこれ。」
 タダシ「お前、好きだもんなこういうの。中学生と中身変わんないんじゃないのか?」
 タカシ「失礼だなお前は。その口を直してから言えよな。……はい、書けました。」
 ユウ「はい、ありがとうございました。では。」
 タダシ「あざしたー。」
 
 
 タカシ「てかこれお前の荷物なんだし、どうせ出てきたんならサインしてくれりゃよかったのに。」
 タダシ「それはそう。すまん。」
 タカシ「あのペンすごかったなあ。“スーパー文具”ってなんだろ。なんか強そう。未来にはそんなのがあるのかなあ。」
 タダシ「未来なんて言ってたっけ? 俺、そんな大したもん注文してねえし、聞き間違いじゃね?
 そんで“スーパー文具”じゃなくて“文具スーパー”な。某事務キチだろ。」
 タカシ「そっかあ。あ、そういえば何買ったの? わざわざ高速で運んでくれたんだろ。」
 タダシ「あー…、いーや。見せないね!」
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