青の下の後悔
【青の下の後悔】
登場人物
未来
幕開け
舞台は小さな小さな星。そこには未来が一人。
横には変わった形の植物がある。
未来「目を覚ますと、世界が青くなっていた。黒に近い、深い青。目を覚ますと、そこは島だった。周りには、海が広がっている。そこには、生き物の香りはなく、その島にいるのは、僕一人みたいだ。青くなってから、どのくらい経つんだろう。みんないないなぁ。どこに行っちゃったんだろう」
間
未来「この島では、僕は確実に自由だ。けど...あぁ、一人か」
未来は、そばに生えている植物に目をやる
未来「君は、生き残ったの?」
植物は何も言わない
未来「あぁ、死んじゃったんだ。だから赤いんだ。赤いのは血だ。きっと。この前まで喋って、動いてたのに」
未来「この星、綺麗だったのに。青くなっちゃった。この星には、沢山生き物がいたのに。でも、僕はあの子たちから嫌われちゃった。前に、聞いたことがあった。地球では、バラって花を大切にしていた王子さまがいたって。僕も見てみたくて、バラを探した。バラを見つけた僕は、その姿に見とれた。赤くて、すごく赤くて、自分のものにしたくて、茎からちぎった。とげが刺さって、抜いたことを後悔し、バラは捨ててしまった。そうすると、植物たちは僕を嫌い始めた。植物殺し、と。それからというもの、僕は一人になった。この星に、僕と同じ生き物はいない。どんなに探しても。いや、こんな小さな星、探す必要もないくらいだ。僕は一人で、この生き物でいた」
未来、植物を見る
未来「ごめんなさい。ごめんなさい。もしも、バラを捨てなかったら、バラをちぎらなかったら、僕はみんなといられたの?ごめんなさいって、あのとき言えたら!!」
植物は何も言わない
未来「無視...」
未来「ねぇ、なんで僕は生きてるの?何のために生きてるの?誰のために生きてるの?」
植物は何も言わない
未来「返事、してほしいけど、死んじゃってるんだもんね。死んだなら、今さら謝っても、遅いか」
未来「仲直りしようとすれば、できたのかな。寂しいよ。みんな、寂しい。ねぇ、ほんとはずっと寂しかったんだよ。仲良くしたかった。ごめんね。言ってくれたのに。『ほんとはみんな、君を嫌いじゃない』って」
未来「変に…謝れなくて…ためらってさ。ひどいことばっか言って」
未来「なんで、今さら気づくんだろうね。なら、最初から大切にしろって思うよね。大切にしなかった僕は、一人で当然なんだよね。もう、みんなと喋れなくても、自業自得...」
未来、周りを見る
未来「みんな、海の底に沈んじゃったから」
未来「青の下には、何があるんだろう。きっと、赤いんだろうな...あの血みたいに」
未来「ねぇねぇ、なんで、あのとき大切にしなかったの?」
未来「あーあ。世界って、あんなにきれいだったんだ。気づかなかったよ」
未来「よし。地球に行ってみよう。あそこに行けば、もう一人じゃないはず。あんなに大きくて、青くて、綺麗な星なんだ。きっと、大事にされてきた星だ。地球にいる生き物が、大事に大事に育ててきた星。バラ、抜いちゃったから、僕は少しだけ、この星をだめにしちゃった」
未来「地球の人たちは、僕がバラを抜いたこと知ったら、怒るかな。もっと大切にしろって」
未来「地球に行ってみよう。そしたら、もっと、バラも、大切にするよ」
未来、はける
了
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