これは海亀のスープですか?
「これは海亀のスープですか?」 作・東 詩依
【登場人物】
塩谷 玲(しおや れい) レストランの店長兼シェフ。
天満 葵(てんま あおい) レストランの従業員。ウェイター。
市山 美弥(いちやま みや) レストランの従業員。仕入れ担当。
春野 マツ(はるの まつ) 客の老人。
金花 姫愛(かねはな ひな) 客のギャル。マツの同伴者。
舞台は町外れにある個人経営のレストランである。
○レストラン(昼過ぎ)
お昼のピークが過ぎ、客のいないレストラン。
店長兼シェフの玲とウェイターの葵が談笑している。
玲 そのとき、食材が喋った気がしたんだ――ここを切れば、いちばん効率よく味が染みるよ――って!
葵 さすが店長! 僕もいつかその域に達したいなぁ。
休憩も束の間、レストランのドアが開き、姫愛とマツが入店する。
玲は厨房に、葵は接客しに行く。
葵 いらっしゃいませ、何名様でしょうか?
姫愛 二人だよ、うちとこっちのばーちゃんね。
葵 かしこまりました、お席へご案内します。(テーブルへ案内し)こちらへどうぞ。
姫愛 ばーちゃん、荷物こっちによこしな。
マツ すまないねぇ。
葵 (メニューを差し出し)メニューでございます。ご注文がお決まりになりましたら、こちらのベルでお呼びください。
姫愛 はいはーい。
葵 それでは、失礼いたします。
葵、テーブルを離れる。
姫愛 (メニューを見て)へー色々あるじゃん……あ。
マツ どうしたんだい?
姫愛 これ。
マツ ……海亀のスープ。
姫愛 ……。
マツ それじゃあせっかくだし、これにしようかね。
姫愛 うん、うちもそれで。(ベルを鳴らす)
葵がテーブルに戻って来る。
葵 お待たせいたしました、ご注文をお伺いします。
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