放課後これこれしかじか
放課後これこれしかじか

放課後の教室にて女子高校生二人の会話劇
佐藤と山田が机を向かい合わせにして、卒業アルバムの打ち合わせをしている

SE 学校のチャイム

山田「ねえ、佐藤」
佐藤「どうした、山田」
山田「昨日、サッカー日本代表が試合をしていたの、見た?」
佐藤「あー、弟が見てた。結局どっちが勝ったん?」
山田「引き分け。でもさあ、フランス相手によく頑張ったと思うわ。パスが遅いーだの、決定力がないーだの色々言われているけど」
佐藤「ふうん。で、何?選手の中に、好きなタイプの人でも見つけたの?」
山田「違う違う。その試合中にね、アナウンサーが『勝利の女神はどちらに微笑むでしょうか』って言ってたんだよ」
佐藤「はいはい」
山田「そこで疑問なんだけど。勝利の女神って、どんな風に微笑むと思う?」

佐藤 顔を上げる

佐藤「…………確かに」
山田「でしょ?ということで、今から女神になりきって微笑み選手権を開催しようと思うのだが、いかがかな」
佐藤「ーーコホン。いいですか、山田さん。わたしたちは今、卒業アルバム制作委員会の実行委員として、非常に大事な仕事を任されているんですよ。さっさと終わらせて、野波先生に提出しないと…」
山田「大丈夫大丈夫、すぐ終わるから。じゃあ、先攻はうちからね」
佐藤「聞いちゃいないじゃない」

山田 モナリザの微笑みをする

佐藤「モナリザじゃん」
山田「え、すご。正解」
佐藤「その角度と口角で微笑むのは世界でモナリザしかおらんのよ」
山田「微笑みって意外と難しいな。じゃあ、次は佐藤の番だよ」

佐藤 モナリザの微笑みをする

山田「モナリザじゃん」
佐藤「ブッブー。正解は、嫌いな人が『全然就活上手くいかなくて〜』って嘆いている横で、「わたしは内定を頂いておりますけど?」とほくそ笑んでいるときの……モナリザです」
山田「じゃあ、モナリザで合ってただろ!」
佐藤「っていうか、選手権開催したところで誰が判定するんだよ!こんなことしている場合じゃないって。早くクラスページのレイアウトを考えなきゃ!!」
山田「はいはーい」

校庭で部活をする生徒の声が聞こえてくる

山田 窓の外を見るような仕草

山田「ねえ、佐藤」
佐藤「なんだよ、山田」
山田「アルバム作り始めてようやく実感湧いて来たけど…この校舎で過ごすのも、あと少しなんだね」
佐藤「だね」
山田「なーんか青春が終わっちゃうみたいで、急に寂しくなってきた。いや、この先も青春はあると思うどさ、高校3年間って1番綺麗なブルーって感じしない?」
佐藤「急にエモいこと言うじゃん。山田改めエモダじゃん」
山田「結局うちはこの3年間、一度も彼氏が出来なかったし」
佐藤「エモダスルーすんなって」
山田「まあ、何が言いたいかって言うと。うちら別々の大学に行くし、今より会う時間も減ると思うし、他にも友達ができるだろうけど、絶対に山田のことを忘れるなよ」
佐藤「記憶喪失にでもならない限りずっと覚えているわ」
山田「そうだよねえ!?佐藤、うちのことめっちゃ大好きだもんねえ!?」

山田 佐藤をバシバシ叩く

佐藤「口じゃなく手を動かせ!」
山田「こわーー」
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