流れ星の道しるべ
〇登場人物
彰(あきら) オカルト研究部の部長。男
瑠璃(るり) オカルト研究部の2年生。女
光(ひかり) オカルト研究部の新入部員。本台本では女だが男でも可。
母 光の母。
母「光―!もう30分なんだけど!遅刻するよ!」
光(声だけ)「う、うんわかってるよ!ちょっと待って!」
母「ちょっとってあなたねぇ…!何やってるの!」
光入場
光「準備してるんだけどリボンが上手く結べなくてー!あーでもないこうでもない…」
母「もう…そんなに焦らないで。(リボンを結ぶ)ほら、ちゃんとできてるでしょ?」
光「ありがとーお母さん!(出ていこうとする)」
母「ちょっと待って!これ、お弁当!忘れてる!」
光「あーそうだった!ごめんね」
母「まったく…じゃあ、いってらっしゃい」
光行ってきますと言おうとする瞬間暗転
彰「ほほぉ…新潟の湖でネッシーの目撃記録か!ネッシーといえばアイルランド出身の聖職者コルンバにより西暦565年に発見された未確認生物!」
瑠璃「……」
彰「その正体は恐竜時代に栄えた水棲爬虫類である首長竜プレシオサウルスの生き残り、あるいは遺伝子変異により突発的に生じた巨大ウナギ、もしくは超時空から飛来した組織により存在を改竄された生物とも言われている…」
瑠璃「…先輩」
彰「その写真を捏造だと疑う者も多い!だが俺は信じている!彼(か)の存在は必ず真実であり、いつか俺の前にもその姿を」
瑠璃「先輩!!」
彰「なんだ!君も今日発売の月間ムー第534号を読みたいのかい?」
瑠璃「違います!今そんなことしてる場合じゃないでしょう!」
彰「そんなこととはなんだ!俺にとってここで君とオカルト雑誌を読んで語らいあう以上に大事な時間はない!」
瑠璃「…先輩(ズキュン)」
瑠璃「いや違う!!その大切な時間が、なくなっちゃう危機にあるって言ってるんですよ!」
彰「むむぅ…」
瑠璃「いいですか⁉この前村上さんが辞めましたよね!先輩のせいで!」
彰「俺のせいじゃ…!いやまぁ…ツチノコ探しに傾倒していた時期…散歩嫌いな彼を100キロ歩かせたこともあったが」
瑠璃「ほら!」
彰「…それで今この部活に残っているのは、俺と君の二人だけっていうわけか」
瑠璃「二人…きり?(ズキュン)」
瑠璃「(咳払い)だから!二人だから!もうすぐ廃部になっちゃうんですよ!このオカルト研究部!」
彰「そうなんだよなぁ」
瑠璃「この学校の要綱によると部活動には最低でも三人の生徒が必要です。協議会は今月の最後。つまりこの新入生勧誘で部員になってくれる子がいないと廃部ですよ!」
彰「言われなくともそれは知ってるよ…」
瑠璃「今日は入学式も終わり、新入生が部活勧誘に一番興味を持ってくれる日!部員を集める最大のチャンスじゃないですか!なんで部室でダラダラしてるんです⁉」
彰「だってさぁ!この時代にオカルトなんてもう下火だろ!誰も来ないって!」
瑠璃「あなたがそれ言います⁉」
彰「…今はもう画像なんていくらでも編集できるし、神隠しなんて起こらなくても人だって消しゴムマジックで消せちゃうもんな。ほとんどの現象は科学的に説明されちゃってるしよー。まったく、世知辛いね」
瑠璃「それが分かってるならなんであなたはツチノコ探しに100キロも歩いてるんですか!」
彰「それは浪漫を追い求めるためさ!この時代だからこそ誰も見つけてない宇宙人だとか怪奇現象に触れてみたいじゃないか!」
瑠璃「それは分かりますけど!」
彰「言いたかないが、今真面目にオカルト研究したいやつなんてほぼ会えないよ!もうそいつらがツチノコみたいなもんだろ!」
瑠璃「ツチノコて…でも最近は隣町の廃神社の噂とか有名じゃないですか。…オカルトに興味を持つ人がどんどん増えている証拠でしょ!たぶん!それに、ツチノコ探しだとでも思えば、出来るんじゃないですか?」
彰「…あぁもう分かったよ!今から探しに行くぞ!」
1/5
面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種
Windows
Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。