Who are you?
Who are you?
午後三時頃。カフェの二人席。結衣のみが座っており、下手から月乃が登場。
月乃:ごめん、待った?
結衣:全然。むしろ、今約束してた時間より大分早いよ
月乃:まあね。結衣を待たせるわけにはいかないから
結衣:相変わらず、月乃はおふざけが好きだね
月乃:そういう結衣は風の噂で、彼氏できたって聞いたけど?
結衣:そうなんだよ!念願の初カレ!
月乃:やっぱり!?えーおめでとう!!
結衣:ありがと
月乃:で、彼氏さん。どんな感じ?
結衣:えーと…顔はめっちゃかっこいい!それに優しくて
ね。この前なんて、私が動けないところ、ジュースとかお菓子とかいろいろ買ってきてくれたんだよ
月乃:へー!いい彼氏さんだね!
結衣:まさにそう。私にはもったいないくらいだよ
月乃:そんなことないよ。彼氏さんは結衣を選んでくれたんでしょ、少なくとも彼氏さんは結衣のこと、愛してるんじゃないかな
結衣:あーそれはもう大分実感している
月乃:…というと?
結衣:とにかく、過保護でねえ。痴漢に遭うからって、ひとりでバスとか電車には絶対乗せてくれないし、夜道は危ないからってことで門限は午後5時まで。休日なんかは外にも出させてくれない。彼氏曰く『人がたくさんいるんだから、いつ誘拐されてもおかしくない』らしい。これは私を守るためだって言ってた。いくらなんでもやりすぎだと思わない?
月乃:え、いや、全然普通じゃない?彼氏さんが彼女のこと守りたいと思うのは当然のことでしょ
結衣:そういうもんなのかなあ…
月乃:そういうもんだよ
結衣:そっかあ、そういうもんか
コール音。結衣のスマホに電話がかかり、画面を見る。
結衣:あれ?
月乃:ん?結衣、どうしたの?
結衣:月乃、私に電話かけちゃってない?
画面を月乃に見せる。
月乃:え!?ごめん!切っといて!
結衣が電話を切る。少ししてから、また電話がかかってくる。
結衣:わっ、また月乃!月乃、スマホどこ?
月乃:実は…家に置いてきちゃって
結衣:家に…?
結衣は訝しげにスマホを再度におもむろに通話ボタンを押そうとするが、月乃にその腕を掴まれる。
月乃:ダメ!
結衣:え
月乃:あー、えーっと、あ、危ないじゃん。なりすましの電話に出たりしたらさ。結衣の電話番号特定するくらいの人だし
結衣:それはないよ。これ、正真正銘月乃の電話番号でしょう?月乃の家族の誰かが届けようとしてくれてるのかもしれないじゃん
月乃:あー、まあ、確かに…
結衣:確かに…って…
結衣がじりじりと月乃から距離をとる。
結衣:もしかして…あなた、月乃じゃない…?
月乃:な、何言ってるの、結衣
結衣:やっぱりそうだ、間違いない…
月乃:いや、本物だって!
結衣:違う、偽物だよ。こういう話が出たとき、本物の月乃はだいたい乗っかってくる
月乃がわずかに笑う
月乃:あーあ、まさかバレるとは。ここまで上手くやってきたのに
結衣:まさか…!なんであなたがここに…!
月乃:なあ、結衣。今日、何曜日だ?
結衣:日曜日
月乃:わかるだろ?休日は誘拐されるから外出るなって言ったよな。なのに、お前はそれを破った。今まで俺の言う通り大人しくしてたのに。そりゃあ、着いていくよな。お前の身に何かあってからじゃ、遅いんだよ
結衣:何も言わなかったのは謝る。でも、月乃は学生来の友達なんだよ。それで、会おうってなったときに空いてる日が今日しかなくって…
月乃:そんなに何年も会ってないんじゃ、そいつがどんな奴に変わってるかわからないだろ
結衣:そうだけど…少なくとも、月乃は道を踏み外すような子じゃない!
月乃:どうだか。人間堕ちるときは一瞬だろ。そんな落ち込んだ顔すんなよ。いいじゃないか。月乃に会えたんだから。これ似せるの苦労したんだよ
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