流星痕を辿って
物理準備室の机の上には、星座表、ノート、パソコン、ライト。4人は各自の作業をしながら和やかに話していた。
 
 綾「ねえねえ! リゅう座流星群を生み出した天体は“ジャコビニ・ジンナー彗星”っていうんだって!」
 
 叶「かっこいい〜〜!」
 
 夏「え〜! なんか強そう! ラスボス感あるね!」
 
 綾「でしょ!? しかも、この流星群は13年に一度くらいしか活発にならないんだって!」
 
 夏「え、マジ?そんなにレアなんだ?」
 
 麗「13年に一度ってことは…次に活発になるのは、私たちが社会人になってから?」
 
 綾「そう!だから今回絶対見逃したくなくて!」
 
 叶「気合入ってるね!天気も気になるなぁ。せっかくの流星群、雲で見えなかったら泣くよ?」
 
 綾「それは困る! みんな、てるてる坊主でも作ろうか?」
 
 夏「あはは、なんか小学生みたい。まあ、予報は晴れだし大丈夫じゃない?」
 
 麗「そうだね、たくさんみれるといいなあ」
 
 叶「あ、そう言えば、今回の流星群ってどれくらいの数流れるの?」
 
 綾「うーん、今年は特に活発らしいから、ピークの時間帯だと1時間に20個くらいは見れるかも!」
 
 夏+叶「20個!? 」
 
 夏「結構多いね!それなら一晩中見ても飽きないかも。」
 
 叶「ね。楽しみだなぁ」
 
 麗「そう言えば3人は、過去にこの流星群が大出現した時のこと知ってる?」
 
 夏「え、なにそれ?」
 
 綾「私も!そんなの聞いたことないよ。」
 
 叶「どんなだったの?」
 
 麗「実は、1933年にヨーロッパで、そして1946年にはアメリカで、流星嵐が観察されてる。…つまり、1時間に数千個以上もの流れ星が見えたの」
 
 夏「ロマンチック…!」
 
 綾「うわぁ…そんな景色、実際に見てみたい…。」
 
 叶「考えただけで鳥肌立つわー」
 
 麗「でしょ?今はそんな規模で見られることはないけど…でも、もしかしたらまた大出現するかもしれないって期待しちゃうよね。」
 
 夏「うん! そうなったらお願い事し放題じゃん!」
 
 綾「そんなに願い事あんの?」
 
 夏「えっ…あるよ? ほら、牛乳パックの開封が上手くいきますように とか ベッドの角に足ぶつけませんように とか」
 
 綾「めちゃくちゃ分かる…けど…!」
 
1/10

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム