次の食材
*登場人物 

リク(主人公:新人の料理人・ちょっと臆病だがツッコミ気質)
サケ(サカナ:陽気な魚、これから料理されてしまうことを、悟っている)
モリ(リクの上司:料理長。語気が強い。愛を持って接しているつもり) 
ウミ(リクの彼女:リクの料理を食べに来た)

 男3女1 計4人

 アパートの一室。リクとウミが、ソファーに座って、スマホをいじりながら話している。

ウミ ねぇ
リク ん?なに?
ウミ 私さ、そろそろ、リクの料理屋でご飯食べたい
リク え、いいよ。
ウミ やったー。お店でリクの手料理振る舞ってね!
リク あー。僕の手料理か、いやでも、やっと包丁握らせてもらえるようになったんだ。だから、もしかするとすぐに俺の料理は客前に出せないって判断されるかもしれない。
ウミ そんなに厳しいの?
リク まぁちょっとね。料理長のモリって人が怖くて、毎回怒られるんだ。
ウミ そっかー、それは大変だね。パナイね。でも、普通にご飯食べに行っていい?すごくおいしいんでしょ?リクのお店
リク うん、うちの店は国内でもトップクラスだね。なんたって、ミシュランに選ばれたんだから。
ウミ そこに就職したリクもすごいね。
リク 頑張ったからね。じゃあ、次の土曜日の19:00頃かな。運が良ければ僕の料理を出せるかもしれない。
ウミ ほんと!超パナイ!じゃあ、楽しみにしてるね
リク まぁ、ほどほどにね

   暗転して、舞台はキッチンへ。リクは料理人らしい白いエプロンに身を包み、
   頭には長くて白い円柱のような帽子をかぶっている。
   舞台にはリクとモリの二人。リクは食器洗いをしている様子。
   モリも白いエプロンに身を包んでいるが、帽子に関しては黒い。
   上司と部下を区別するための色の違い。

モリ おい急げ!次の料理はまだか!八番テーブルの食器は今すぐに片付けろ!19:00から予約のお客様が来るぞ!おいリク!
リク は、はい料理長!
モリ お前が今から来るお客様の料理を作れ!
リク ぼ、僕がですか?
モリ そうだ、お前以外にだれがいる!タイムリミットは30分。料理はサケのソテーをご所望だ
リク わ、わかりました
モリ くれぐれも、失敗するんじゃないぞ!失敗したら、その時は
リク その、時は……

   と、指をさしながら、言い残し、モリは舞台から去る。
   完全に去り終わってから数秒後、リクの一人言が始まる。

リク あ、言わないんだ。それにしても、今から僕が料理を振る舞う。

   と、自分の手のひらを見ながら、震える。そして舞台を歩いて、料理の食材を取りながら、愚痴をこぼす。

リク あー、それにしてもあのプレッシャーのかけ方はないでしょう。もう、怖いよあの人。ここで料理をするって言ったって、たまたま、面接受かって、たまたま、試験の料理が、審査員の口に合っただけで、はたして、俺の実力は本当なのか?
サケ なぁ、ここはどこだ。

   と、まな板に置いた魚、サケが話始める。ここで、サケの擬人化役が出てくる。
   サケ役の人はできるだけ上下青色の服装をする、中央の椅子に座ると、
   料理を出されるまでの間、ずっと、椅子に座りながら話す。
   足を組んだりして動きを足す。リクにはその姿が見えていないため、
   板の上に乗っているサケにずっと顔を向ける。

リク え?今、誰かしゃべった?
サケ 俺だよ
リク ええ!?
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