脚本ダウンロードサービス

エゴ

エゴ
代市圭吾

谷川
中田
藤村
西井
　　　ライブハウス。開演時刻になり客電がゆっくり消えていき前説が始まる。
　　　谷川と中田が舞台上へ出てくる。

二人　どうも～。
中田　本日はですね、『お笑いサークルレッツ轟単独ライブボリューム２３「笑う門には福ミサイル」」にご来場いただき誠にありがとうございます。
谷川　ありがとうございます～。僕たち、前説を担当させていただきます、ナカタニガワといいます。僕が、たにがわで、
中田　僕が、なかたといいます。
谷川　谷川と中田でナカタニガワですよろしくお願いします～
中田　お願いします～。
谷川　いや～、それにしても綺麗なお客さんばかりですね～。
中田　そうですね～。
谷川　こちらからべっぴんさん、べっぴんさん、べっぴんさん、だけどお前が一番べっぴんさん
中田　イヤン！イヤンじゃないんだよお前。俺が一番べっぴんさんな訳ないだろ。もっとべっぴんさんいるわ。
谷川　まあこのライブはお笑いサークルレッツ轟のライブということですけれども、
中田　そうですよ。
谷川　どれくらいの人が僕らのことを知ってくれてるんでしょうね。
中田　確かに気になりますね。
谷川　じゃあ僕らナカタニガワのことを知ってるよ～って人、あるいは知らないよ～って人手を挙げてみてください。
中田　皆あげちゃうよ！み～んなあげちゃうよ人類は皆知っているか知らないかに分類されてしまうのだから。
谷川　そうですか？
中田　そうですよ。
谷川　じゃあこんな質問はどうですかね？
中田　なんですか？
谷川　僕らナカタニガワだったら、僕谷川の方がタイプだよ～って人！
中田　皆あげちゃうよ！
谷川　え？
中田　だってこの中でお前が一番べっぴんさんなんだから。
谷川　イヤン。
中田　イヤン！はい、ということでね、まもなくライブが始まります。携帯電話は、音が鳴ったり光が出ないような設定でお願いします。撮影はご遠慮ください。お飲み物は、蓋つきのものであればご自由にお飲みいただけます。上演中具合が悪くなった場合は、スタッフまでお声がけください。それでは『お笑いサークルレッツ轟単独ライブボリューム２３「笑う門には福ミサイル」」最後まで、ごゆっくりお楽しみください～。

　　　出囃子が流れる。谷川と中田はけ。
　　　暗転。
　　　ライブハウスの楽屋。谷川と中田が座っている。それぞれスマホを見ていて会話はない。谷川のスマホに西井が遅れてくるという連絡が入る。

谷川　西井遅れてくれるって。
中田　え、また？
谷川　うん。バイト終わって今急いでこっち向かってるって。
中田　え、それ出番間に合うの？
谷川　う～ん、ネタ順後ろの方だしまあ間に合いはするんじゃない？
中田　ほんとかよ。てかライブ前にバイト入れんなよな。
谷川　あいつのバイト先この辺らしいし行けると思ったんじゃない？
中田　いや、だとしてもこんなギリギリまでバイト入ってんのはヤバいだろ。
谷川　まぁそれはそうね。もう西井遅れてくるのがデフォすぎてなんにも思わなくなってきたわ。
中田　遅れ慣れてきてるよなあいつ。
谷川　わかるわ～。あいつ遅れすぎて遅れてくるテクニック豊富よな。
中田　小賢しいよな。
谷川　これ見て、西井からのライン(中田にスマホを見せる)
中田　「すいませんれ！今バイト終わったっすれ！めっちゃ急いでますれ！」え、なんでこいつ語尾れになってるの？
谷川　ほら、スマホで文字打つ時、ビックリマークの上ら行だろ？だから語尾にれをつけることでビックリマーク打とうとしたけど急いでるかられになっちゃいました！その誤字を直すことすらできずに送ってしまうほど急いでます！感を演出してるんだって。
中田　プロじゃん。小賢し。
谷川　たぶんゆっくり歩きながられって打ってるよ。
中田　途端に腹立つな。

1/17

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで！