おはんが池の肝試し
一人の少女と五人の中学生
山本由香:穏やかで控えめな性格だが、友達のためなら勇気を振り絞る中学生。
田中咲良:由香の親友。クールだが知識が豊富で、不思議な事柄が好き。
佐藤沙織:社交的で明るく、好奇心旺盛。
山名理香:普段は明るいが、たまに怖がりなところがある。
鈴木みちる:謎めいた雰囲気を持つ物静かな女の子。
舞台設定:2019年7月〜2024年8月 千葉県船橋市 公園、おはんが池のほとり
1肝試しの始まり
音響 シーン1終了まで蝉の鳴き声を流す
沙織と理香と由香舞台中央へ。その後、舞台明転。
沙織:(不満げに)いつも思うんだけど、こんな片田舎に何があるの?遊ぶときなんていつも公園に集合して語り明かしているだけじゃんか。
理香:(冗談風に)神社にお寺に坂にお墓にお地蔵さんに馬頭観世音があるよ!
沙織:(ため息をついて)ほら片田舎だから何も無いじゃんか!
咲良、沙織と理香と由香の元へ歩く。
咲良:(笑いながら)何言ってんのよ、片田舎で出来て都会では出来ない肝試しがあるじゃないのよ。
由香:(咲良を見て)咲良!三分遅刻!
咲良(由香を見て)でも前回よりも57分縮められたわ。それに三分ならカップラーメンが出来上がる頃だからちょうどいいわね。
由香:ちょうどいいわけないでしょ!家近いくせになんで遅れるのよ、不思議だわ。あと時間をカップラーメンに換算しないの!あれ?みちるは?
沙織:めずらしいね、みちるが遅刻なんて
みちるが急いで走ってくる(怪我しないようにお気をつけて)
みちる:ごめん!急いできたんだけど間に合わなかった。
咲良:あら~みちるちゃん。なんで遅れたの?もしかして青い鳥を探しに駆けずり回ってたから遅れたの?
みちる:青い鳥のミチルじゃないし!そんなメルヘンな趣味してないから、暑いから水筒に水を入れていたんだけど……
咲良:何だ青い鳥を追いかけていたんじゃないのか〜。がっかり。
みちる:勝手にがっかりすんな!
理香:で、肝試しって何をするの咲良、もしかしてお墓に行くの!?
沙織:面白がってお墓なんて行ったら呪われるって!
由香:学校に忍び込もうなんて言わないよね?
咲良:学校に忍び込もうなんてつまらない事はしないし言わないわよ
みちる:じゃあ咲良はどこへ肝試しなんて行くのさ?
咲良:それはだね……。池に肝試しに行くのさ、伝説の池へね!
みちる:こんな片田舎に伝説の池なんてあるの?
咲良:あるんだよ、みちるちゃん。青い鳥を追いかけられるようなね。
みちる:わたしを何だと思っているんだよ。で、どんな池なのさ
咲良:昔、ここは村だったの。そこで奉公人として暮らしていたおはんって女の人がね、おはぐろに使うために必要なふしの実を取ろうとしたら枝が裂けてしまって底なし沼に落ちてしまってそのまま戻らなかったの。それ以来、おはんが池と呼ばれているんだけどね、夜な夜なおはんさんの霊が出るんだって。
由香:呪われたりなんてしないよね!?
沙織:安心しなよ、ただの池なだけじゃん。伝説なんてきっと作り物だよ。
理香:咲良の話面白そうじゃん!行こうよ〜!
由香:大丈夫かなあ……。
みちる:ここは覚悟を決めて行くしかないよ、由香。
咲良:じゃ、9時に池でね!遅刻はなしね!
みちる:あんたが言うな!
由香以外の四名、舞台からはける。由香は舞台真ん中へ。
由香:五年前、私達はなかよしの友達五人組でした。いつもは語り明かしているだけだったけど普段はしない肝試しをすることになってしまって。でもあんなことになるだなんて。
由香、舞台からはける。
2肝試し本番
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