姉妹
姉妹
妹
姉
~起~
姉…私には妹がいます。
妹…私には姉がいます。
姉…私たちは双子です。
妹…生まれるタイミングがたった2分違うだけで、私たちの役割は決まりました。
姉…私たちは2卵生でしたので、あまり似ていません。
妹…むしろ全く似ていませんでした。
姉…私が物心ついたときから、妹は普通でした。父も母も妹には目もくれませんでした。なので、妹はいつも何かをねだっていました。
妹…姉は天才です。容姿端麗で何もかもが特異的。透き通った肌も、つややかな髪も、美しい鼻筋も全てが完璧だったのです。姉はどこに行っても周りから浮いていました。
姉…妹は普通だったので、誰かに気づいてもらおうと必死でした。いわゆるかまってちゃんです。
妹…(1回咳払いをする)姉は完璧だったのにどこか壊れていました。小学校低学年の時まで笑ったところはおろか、泣いているところも、怒っているところも見たことがありませんでした。ほかよりも秀でている分、ほかよりも欠落している部分が必要なのでしょう。神様は平等ですね。
姉…あら、平等かしら?…妹はやっぱり普通です。好奇心に任せて両親からダメだと言われたことをやっては怒られ、学力が向上せずに怒られ、反抗期に反抗しすぎて怒られる、そんな普通の妹です。
妹…(ムム( ˘•ω•˘ ))…そんなに怒られてばかりじゃないんですよ?姉は何をやっても褒められました。習い事に置いてもです。ピアノを弾けば聞いた人全員が感動し、書道の先生からは書道教室の看板の文字を依頼され、バドミントンの大会は、出場すれば必ず全国大会で優勝していました。
姉…別に特別なことでもないでしょう?…私は妹が両親に褒められる所をあまり見ませんでした。普通にしていれば怒られることなんてないはずなのに、どうしてでしょう。私には分かりません。…私にとって妹はかつてもののけのようなものでした。妹は見えるのに不思議です。
~承~
妹…私の家は姉が中心でした。お誕生日会は姉の誕生を祝う会でした。物心ついたときからケーキの大きい方も名前の入ったチョコもいつも姉のもので、クラッカーをならされるのだって姉だけでした。
姉…もののけは、小さい頃親にせびってばかりで何度も怒られていました。父も母ももののけには手を焼いているようにみえました。どうしてもののけが何か欲しがるのか分かりませんでした。
妹…学校でも同じでした。姉はクラスメイト全員から一目置かれていました。どこに行っても姉の第一印象だけは最高でした。私には誰も目を向けませんでした。
姉…もののけのことはいまいち分からないのでよく覚えていませんが、もののけは常に誰かと一緒にいたような気がします。
妹…学校でも私の存在は変わりませんでした。話す友達はいるけれど、その子にはもっと大切な友達がいて、結局その子たちも私を見てはくれていませんでした。
姉…もののけにはどんな景色が見えているんでしょう。別に気になる訳ではありませんが、私が普通だったらもののけのことはよく分かったのでしょうか?
妹…きっとみんな他に好きな人がいるから私のことを見てくれないんでしょう。…じゃあ、まだ誰も好きじゃない人なら…?まだ誰にも興味のない、誰も愛していない人なら…
姉…別に私ともののけは仲が悪かった訳ではありません。私たちは普通に話していました。むしろ、私のわからないことを解決してくれるのはもののけだけだったと思うのです。
妹…姉は、ふらっと私の部屋へ来て、急に質問をすることが何度かありました。私を頼ってくれていたんです。確か1番最初は、小学校低学年の頃―
姉…先生に怒られた、もっと周りとなかよくしましょうって。どうしたらいい?
妹…姉からの質問ですから、絶対に正解を言わなければなりません。
姉…分からないならいい―
妹…笑えばいいんじゃない?
姉………そっか。…(狂ったように笑う)
妹…ちょっ、うるさい。そうじゃなくて、もっとにっこり笑いなよ。
姉…(人差し指で口角をあげる)
妹…私は言い出しておいて少し間違えたかと思いました。…いえ、間違えてなんていません。間違えたらダメなのです。
姉…笑うのは難しいです。ですが、他に聞く人もいなかったので、もののけの言うことに従うことにしました。
妹…姉は少しおかしかったのですが、私はどうすればいいのか、わからなくなってしまいました。ですので、かなり長い時間考え続けました。
姉…私はこれを2年ほど続けました。ですが、笑っているだけでもダメなようでした。ある日、もののけから
妹…感情が分かんない
姉…と言われました。私にはどうすればいいのか分かりませんでしたので、もののけに聞きました。
妹…話しかけてみたら?
姉…もののけに言われたので、そうすることにしました。
妹…2年もかけてそんな答えしか出せなかった自分が情けないです。…いいえ、誇らしいです。きっとそうです。私としては、成功しても失敗しても良かったんです。もし成功すれば、姉に感謝されるはずですし、失敗すれば、姉がまた頼ってくれます。
姉…もののけの言うことですから、私は従いました。ですが―
妹…結果は失敗でした。…私は勘違いをしていたんです。姉と話せば、姉を知れば、たとえ少し変わっていたとしても、姉は受け入れられると。ですが、そうではなかった。
姉…「普通じゃない」はそれだけで受け入れられることはないのです。
妹…私はもうひとつ間違えていたのです。失敗しても姉はまた私を頼ってくれると。ですが、姉は全てを諦めました。
~転~
姉…気がついたら小学校を卒業し、中学生になっていました。そして、気がついたら中学も卒業していました。
妹…姉はずっと孤立していました。人を遠ざけていました。私はどうしたらいいか分からなくて、でも姉に頼られたくて、また考えました。
姉…普通って何なんでしょうか?
妹…私はまた間違えていたのです。
姉…何をしたら普通で、何をしたら普通じゃないんでしょうか
妹…私がすべきだったのは考えることではなかったんです。
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