革靴をはいた猫
「革靴をはいた猫」  作:ゆにこ
 
 
マスター       ある喫茶店の店主    
三宅         正体は三毛猫のミケ  
湯川ユカ       ある喫茶店の店員
東堂         ある喫茶店の常連客 
ヨモスエ リョウコ  占い師
藤村タツヤ      転職活動中の男
藤村ハルナ      タツヤの妹
 
 
 
   ○ある小さな喫茶店
   
  マスター、湯川、東堂板付き
  東堂が座っているテーブルにはコーヒーとショートケーキ。
  マスター、何やら箱をごそごそやっている
  猫耳を取り出して
  
マスター いろいろ考えたんだが・・・湯川くん、これはどうかな?
湯川   ダメです。
マスター では、これは?(ウサ耳)
湯川   それもダメです。
マスター それなら、これは?(能面)
湯川   それについてはコンセプトを教えてください。
マスター 僕にも分かりません。
湯川   ですよね。
マスター 時給50円アップでもダメですか?
湯川   ダメです。やりたいならマスターお一人でどうぞ。
 
  マスター、無言で猫耳を着ける。

湯川   ・・・やっぱり取り消します。見てられません。
マスター では!
湯川   それでも、嫌なものは嫌なんです。
東堂   あああああーーーーっ!
マスター びっくりした!
湯川   どうされたんです。
東堂   全然だめだ。浮かばないんだよ、今度の新作のアイディアが。
湯川   東堂さんは売れっ子小説家ですからね。
東堂   こうなったらやけ食いだ。あーーーーむ。

  ショートケーキのいちごをぱくりと食べる東堂
  マスター、ケーキを指して
  
マスター ああ!まさに、これだ。今うちは、この状態なんです。
湯・東  ?
マスター ミケがいないこの店なんて、まるでいちごの乗ってないショートケーキだ。もっと言うならミッキーのいないディズニーランド。バイクに乗らない仮面ライダー。新所沢止まりの西武新宿線・・・
湯川   言いたいことは分かりましたよ。でも、だからって私は猫やいちごにはなれないんです。ミケの代わりはいないんですよ。
 
  東堂、ケーキをつつきながら
  
東堂   確かに、みんなミケのファンだったからねぇ。
マスター ああ!いちごを失ったケーキが!
東堂   不思議な魅力のある猫だった。ミケが虹の橋を渡ってからは、めっきり客足も遠のき、最近じゃ閑古鳥も鳴きっぱなしだ。
マスター 無力だ・・・僕らは崩壊していくケーキをただ見ていることしかできないのか・・・
東堂   食べづらいなぁ。まぁ、要するに、看板猫ミケに代わるこの店の付加価値を見出そうとして迷走しているわけか。
マスター ええ・・・このままでは廃業の危機です。
湯川   そんな。ここで働けなくなったら私どうすればいいんですか。
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