第三小児病等
第三小児病棟
ヒロ 入院患者
ユメ 向かいの病棟の入院患者
ミホ 看護師
ユウ ユメのきょうだい
タマ ユメの同級生
先天性の心疾患により幼い頃から入院しているヒロ。思い出のほとんどは病院の中でのものだ。
両親はヒロの医療費を捻出するために仕事を頑張っているので、平日はなかなか見舞いに来られない。
ヒロはいつ退院できるとも知れない入院生活、ひいては自分の人生に絶望している。
そんなある日、向かいの病棟に新しい入院患者が来る。
向かいの病棟は第三小児病棟。主にがんを患うこどもが入院する病棟だ。
1場
舞台上手に病室。ベッドに上体を起こして座っている「ヒロ」。ヒロは入院着を着ている。部屋は個室の様で、周囲に他の患者は居ない。
夕暮れ時の明かりが窓から差していて、ヒロはそちらの方を眺めている。顔色があまり良くない。
そこへ、ノックの音。
ヒロ ……。
ヒロは返事をしなかったが、看護師である「ミホ」が扉を開けて入ってくる。手にはカルテと体温計。胸ポケットにはペン。
ミホ そろそろ夕ご飯だけど、気分どう?
ヒロ 気分、そんなに良くないですね。
ミホ あら、それは大変。
あまり意に介していなさそうな様子で、ミホは体温計を渡し、脈を測る。
ヒロ ……。
ミホ え、ホントに体調悪いわけじゃないよね?
ヒロ 体調は悪いよ、ずっと。
ミホ いつも通りってことね。
ヒロ いつもすこぶる悪いんだよ。
ミホ (ヒロの顔をじっと見て)うーん、顔色はいつも通りだね。
ヒロ だから、いつも良くないんだって。
ミホ まあ、慣れるしかない。
脈を測り終えて、カルテに何か記入している。
ヒロ 無責任じゃないですか?
ミホ 無責任?
ヒロ 僕はこんなに辛いのに、「慣れるしかない」だなんて。
ミホ そりゃどうも。
ヒロ 僕の辛さを分かってくれとは言わないけど、分かる努力をしてくれても良いじゃないですか。
ミホ あら、失礼しちゃうわね。あたしが努力していないような言い草。これでも理解しようと努めてるんだから。
ヒロ だったらもうちょっと言い様があるでしょう。
ミホ それはお互い様。うん、顔色良くなったよ、少しね。
ヒロ ……。
体温計が鳴った。ヒロはそれを取り出してミホに返す。
ミホは手早くカルテに書き込む。
ミホ ……ま、慣れるしかないってのは、残酷に聞こえるかもしれないけどさ、
ヒロ ?
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