アラ・マルチア・ァレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ
   題名:アラ・マルチア・ァレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ
   劇団:劇団海里
   作者:羽矢隆也
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□ 題名:アラ・マルチア・ァレグロ・アッサイ・ヴィヴァーチェ
       <第十一稿>

□ 登場人物
      鈴木(すずき) 一郎(いちろう)  舞台監督
      岡田(おかだ) 智子(ともこ)  ソリスト(ソプラノ)
      久保(くぼ) 昌子(まさこ)  ソリスト(アルト)
      野田(のだ) 鶴彦(つるひこ)  ソリスト(バリトン)
      大谷(おおたに) 加代子(かよこ) ソリストテノール大谷の母
      紺野(こんの) 範子(のりこ)  マエストロ

□ 本 編
     舞台は、とある大ホール舞台袖。
     下手手前はアナウンス席。アナウンス席の前には小窓があり、そこからコンサート舞台及び客席が見える。
     上手の壁際には、長机とイスが四つ。長机の上には、ミネラルウォーターと楽譜が4セット置いてある。


(一)

     舞台上手には、岡田が椅子に座って震えてる。その隣に野田が岡田のことを心配そうに寄り添っている。
     鈴木、インカムで舞台の進行状況を報告。

 鈴木  「コンサートマスター、入場完了です。」

     オーケストラの調律の音が聞こえてくる。
     楽屋から舞台袖に紺野が入ってくる。手には指揮棒を持っている。

 鈴木  「紺野先生、準備完了です。いつでも行けます。」
 紺野  「ありがとう。」

     紺野、身なりを確認している。
     鈴木、インカムでさらに舞台の進行状況を報告。

 鈴木  「まもなく、マエストロ、入場します。」

     紺野、岡田の様子がおかしいことに気づく。

 紺野  「んー? 岡田さん、どうしたの?」
 野田  「緊張でガチガチになっちゃってるんです。」
 紺野  「っえ。ゲネプロは、なんともなかったじゃない。(大きなひとり言)ダメダメダメ、私の計画した旋律がぁ・・・。」
 鈴木  「(時計を見て)先生、定刻です。」
 紺野  「岡田さん、大丈夫。ソリストが入場する第三楽章前まで、まだ時間あるから。あのあれ、最後の第四楽章が始まっちゃえば、思ってるより、あっという間に終わっちゃうから。もう終わった瞬間、それはもう、ソプラノ最高って気持ちになるから。そしたら、ほら、もう、あれ、なんだ、すぐ呑みに行こ。なんか話あるって言ってたじゃない。はい、リラックス、リラックス。(鈴木に)岡田さんのこと頼むね。あと、野田も・・・まぁ、それはいいわ。」
 鈴木  「はい。え? 野田さん?」
 紺野  「本番! 行ってくる。」

     鈴木、大扉に向かう。

 野田  「いってらっしゃいませ。」

     鈴木、大扉を開けて、拍手で紺野を送り出す。

 鈴木  「いってらっしゃいませ。」

     大扉の奥から拍手の音。
     鈴木、大扉閉める。
     久保、楽屋方向から舞台袖に入ってくる。
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