薔薇の文香
薔薇の文香

登場人物
命庵(みょうあん)実年齢より若く見える不健康探偵 28歳
断瓶(だんひん)命庵に仕える少女の姿をした亀の式神 年齢不詳
下薔薇(しもばら)今回の依頼人 21歳

あらすじ
『私の生きた証を探して欲しい』という不思議な依頼が薔薇の文香と共に届き、上薔薇屋敷に来た探偵の命庵と式神の断瓶。依頼人も不思議に思っていることがあるようで…?短編推理、始まり始まり。

○上薔薇屋敷 庭(夕)
庭で三名が立っている

命庵「断瓶」
断瓶「嫌ですわ」
命庵「断瓶」
断瓶「絶対嫌ですわ」
命庵「駄目かい」
断瓶「駄目ですわ」
命庵「しょうがない…じゃあこうしよう」
断瓶「何ですの?」
命庵「明日から僕の向こう一ヶ月の食事を、野菜中心の健康的な物に変えよう」
断瓶「それなら良いですわ! 行って参ります、命庵様!」

するりと断瓶が屋敷の壁の中に入っていく
驚く下薔薇、困ったような顔をする命庵

命庵「(溜息)明日から何食べよう…」
下薔薇「断瓶さんってもしかして…幽霊?」
命庵「彼女は僕の優秀な霊的助手であり、僕と契約を結んだ亀の式神でね」
下薔薇「式神、さん」
命庵「そして、僕の食事と生活にいちいち文句を言う女性だ」

壁からにゅっと姿を現し会話に混じってくる断瓶

断瓶「みょーうーあーんーさーまー?」
命庵「断瓶、調査は終わったのかい?」
断瓶「何やら私の悪口を言っているようでしたので、これだけは言っておこうと思い、戻って参りましたの。言い終わったら調査に行きますわ」
命庵「お伺いしましょう」
断瓶「下薔薇様、私達、式神と言うものは契約者の健康によって生き永らえておりますわ」
下薔薇「はい…」
断瓶「ですのに、ああ、ですのに、この命庵様と言う方はですね、毎日、お酒と煙草、」
命庵「煙管(キセル)だよ」
断瓶「お黙りくださいまし! 毎日そう言ったものを楽しんでますの!」
下薔薇「…はい?」
断瓶「そして好きな食べ物は肉、米、油、醤油の味が濃い煮物に、塩気のあるもの、なのですわ! いくら何でも酷いと思いませんこと⁉︎ 心筋梗塞、高血圧、肺癌、肝硬変まっしぐらの不健康そのものなんですわ!」
命庵「だからさっき、僕の明日からの食事が野菜中心に決まったんだよね…」
断瓶「良いことですわ。明日から野菜の美味しさ、と言うものを解らせてあげますわ!」
下薔薇「なんか…」
断瓶「なんですの?」
下薔薇「なんか、お母さん、みたい…ふふ」
断瓶「な、ちょ、それは、違いますわ!」
命庵「ん?」
断瓶「その、あの、そうですわ! こんな不健康児を放し飼いにしてはおけませんから、私が健康管理しているのですわ!」
命庵「僕は野生動物か何かかい?」
断瓶「も、もう良いですわ! ふんっ」

出てきた壁にまた戻っていく断瓶

命庵「彼女、忙しくてね」
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