新選組異聞 ある哀の詩 土方細腕奮闘記
新撰組異聞・ある哀の詩 土方細腕奮闘記



 登場人物

  土方歳三(女)

  沖田総司(男)

  近藤 勇(男)





暗い舞台。

蝋燭の明かりに、土方が座り、近藤が立っている。

近藤   「歳・・・。その話は、本当か。」

土方   「副長の私の話を、お疑いになりますか。」

近藤   「いや。俺は、新撰組局長としてではなく、一人の男、近藤勇として聞いているんだ。」

土方   「一人の男として、近藤勇として、私を愛して下さるんですか。」

近藤   「男子たるもの、婦女子に乱暴を働く輩は斬らねばならん。好きの嫌いの、惚れたはれたの話ではない。男として、だ。」

土方   「・・・そう、ですか。」

近藤   「・・・どうなんだ、歳。」

土方   「はい・・・。新撰組筆頭局長・芹沢鴨は、昨晩私を寝屋にて襲いました。あの男はケダモノです。」

近藤   「そうか・・・。総司!」

 沖田、登場。

沖田   「は、ここに。」

近藤   「これまで数々の乱行狼藉、同じ新撰組局長としてもはや許せぬ。筆頭局長

芹沢鴨及びその一派、局中法度により士道不覚悟とみなし、これより粛清する。」

沖田   「わかりました。新撰組一番隊、ただちに集合させます。」

近藤   「いや。それは無用。今後の為、他の隊士に内輪揉めは見せたくない。あくまでも内密に、少人数で行う。」

沖田   「はっ。」

近藤   「どうだ。斬れるか、芹沢を。やつは強いぞ。」

沖田   「さあ、どうでしょう。難しい事はわかりませんが、私はただ斬るだけです。」

近藤   「そうか。(刀を抜き)・・・今宵の虎徹は、血に飢えておる。行くぞ。」

沖田、退場。

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