仁義なき部活王決定戦!
仁義なき部活王決定戦!
イチカ・女 吹奏楽部・生徒会会計(制服。フルートみたいな小さな楽器持参。)
ジロー・男 卓球部(ユニフォーム。卓球ラケットとピンポン持参。)
ミライ・女 女子テニス部(ユニフォーム・ミニスカ。テニスラケット持参。)
シシオ・男 サッカー部(サッカーユニフォーム。サッカーボール持参。)
ゴトウ・男 囲碁・将棋部(学ラン。黒縁メガネ、気弱。)
ローラ・女 演劇部(自信がありキラキラ女子。制服。メガホン持参。)
ナナミ・女 陸上部(陸上部練習着Tシャツ短パン。おでこにハチマキ。)
軽快なBGM。緞帳が開く。赤のホリゾント。7人の部長が、後ろ向きでポーズを取っている。ピンスポットで順番に前に向き直る。
イチカ 「みんな、一度は考えたことはないだろうか?」
ジロー 「戦争のない、平和な国、日本において。」
ミライ 「学生時代に限定して発生するコミュニティ、『部活』。」
シシオ 「共通の趣味を持つ友達や、先輩後輩と放課後に過ごす『部活』。」
ゴトウ 「大体、どの学校でも20個くらいはあった、『部活』。」
ローラ 「そんな、たくさんある部活を、戦わせたら。」
ナナミ 「そんなたくさんの部活が、本気で戦ったら、」
全員 「「「一番、強いのは、どこの部活なんだろう?」」」
明転。
周りにいくつか机、自分の部活の小道具をおく。
真ん中に大きな机。後ろに黒板。その周りに7人が集まる。不穏な空気。
わかりやすくにらみあう。腕をくんでたり、ふんぞりかえったり。
イチカ 「では、これより、令和50年度部活動予算編成会議を行います。今年の部活予算は、全部で10万円です。それを、各部活の実情に応じて、配当します。委任状を出した部活が10ありますので、その10個の部活は、この会議の結果に従うとのことです。まず、始める前に聞いておきたいことや確認しておきたいことはありますか?」
ローラ・シシオ、勢いよく挙手。ゴトウも自信なさげに挙手。
イチカ 「ハイ、ローラ。部活名と名前を名乗って発言して下さい。」
ローラ 「演劇部のローラよ!なぜ、吹奏楽部部長のイチカが話を進めてるの⁉ワタクシも司会進行がしたいわ!演劇部の毎日の発声練習は、こーいう時に発揮されるべきよ!あめんぼあかいなアイウエオ~!」
イチカ 「それは、私が生徒会会計担当兼吹奏楽部部長だから。次、シシオ。」
シシオ 「サッカー部部長のシシオ様だ!…ってか、普通に考えておかしくね⁉うちの学校、17も部活あるのに、全部で10万って!それ、単純に 割ったら、ひと部活5000円くらいしか貰えないじゃん!ヤバくね⁉サッカーボールって、公式ボールは1つ1万円くらいすんぜ?」
ゴトウ 「そ、それは、もう、しょうがないよ…。部活地域移行化が導入されて45年。人気のある部活は、地域の外部コーチが熱心に指導してくれるし、国からの手当も手厚いから生徒はどんどん外へ流れていく… 部活はもはや、学校においていらないものとされて、学校予算はどんどん縮小化…。」
ジロー 「未だに学校の中で部活をやっているのは、地域移行が出来なかった お荷物部活ってわけだな。10万もらえるだけありがたいと思えよ。」
シシオの肩を、ポンッと叩く。シシオ、振り払う。
ナナミ 「ちょっと、語弊があるよ!陸上は、地域の外部コーチもいるし、外での活動もやってるし!でも、学校の校庭でしか出来ない活動もあるから、学校の活動としても所属しているわけ。」
ジロー 「陸上の外部コーチって…ゆうて、そこの公園で健康ジョギングしてるじーちゃん達じゃん。この間、朝練とか言いながら、朝6時からじーちゃん達とナナミがラジオ体操してるの見たぜッ」
ナナミ 「ちょ、ジロー!何で知ってんのよ!ちょっと、黙ってて!」
ジロー (ラジオ体操の動きをしながら、ナナミをおちょくる)
ジローとナナミ、ポカスカとやりあう
イチカ 「ナナミ、ジロー、挙手せずに勝手に発言するのはやめて下さい。」
ミライ 「ミライたちだってぇ~、学校じゃないところで活動したいですぅ~!でも、●●先生がぁ~、テニス大好きすぎてぇ『私がいる限り、地域移行化は絶対にしないっ!』って言ってるんだもぉ~ん。まぁ、今年で定年退職ぅ?みたいだから、来年からは女子テニス部も地域移行化されちゃうんですけどねぇ~」
ローラ 「あぁ、●●先生ねっ⁉本当、すごい、尊敬しちゃうわよね!今年、70歳になるというのに、あんなにキラキラと生徒とともに部活が出来ちゃうんですもの、ワタクシもあんな素敵な女性になりたいものだわ!」
シシオ 「●●先生、部活は熱心だけど、授業ではボケすぎて何言ってるかよぉわからん時あるけどね。」
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