カッパだぜ
カッパだぜ

カッパだぜ

緞帳あがる
カッパが座っている。広げている新聞のせいで顔は見えない。
カッパが新聞からひょいとニヤニヤした顔を覗き出す。
カ「カッパだぜ。俺はカッパのカパ蔵だ!」(ひょうきんな声で)
新聞をベンチに置きながら立ち上がる。舞台を適当に歩き回りながら客席へ話しかける。
「みなさんはカッパを見たことがありますか?その答えはおそらく….ほとんどの人が...”No”でしょう…しかし、この劇を見てからは今の質問には”Yes”と答えるようになるでしょう。
ところで、皆さんはカッパに対して様々なイメージを持っていると思います。実はそのイメージは大体当たっています。キュウリは大好きですし、皿が渇くと苦しいですし、河にも時々流されます。
そんなカッパである俺の、ほんの数年前の出来事を皆さんに見て頂きたいのです。」
暗転

下手側にカッパが倒れている。
上手から歩いてきた山葉(やまば)がそれに気づく。驚いて体をビクッと震わせ滑稽なポーズを取り、カッパを凝視する。恐る恐るゆっくりと大きな一歩で近づく。3歩ほど近づいて言う。
「カ、カッパだなぁぁ。えぇ?カッパだよぉぉ?」しゃがんで近くの枝を拾いカッパをつんつんとつつく。
カ「あぁ」
山「ああ!!!大丈夫、、ですか?」
カ「水..水が欲しい…」
山「わかりました。」ペットボトルを取り出しキャップを開けてカッパの口に近づける
カ「あ、あの、口じゃなくて、この、頭の皿に。」
山「…わかりました」頭の皿に水をかける。カッパは目を見開き大きく呼吸をして言う
「生きかえった〜〜!!最高だ。」
上半身を起き上がらせる
「ありがとう!あんたのおかげで助かったよ!本当にありがとう。」握手するように手を山葉の方へ出す。山葉は少し迷ったのちカッパと握手する。
カ「自己紹介するよ。こんな格好してるけど俺、カッパなんだ。」
山「カッパ通りの格好をしています。」
カ「人は見た目によらないよね。」
山「人じゃないと思います。あの、ハロウィンとかのアレですか?」
カ「ハロウィン?何ソレ?」
山「それとも何かのイベントでそんな格好を?」
カ「..あぁ、だからカッパなんだって。人じゃなくて本物のカッパなの!」
山「信じられないですよ」
カ「そうか。よしそこ座れ」
カッパが近くのベンチに座り、山葉も隣りに座る。
カ「それなら俺に質問してみてくれ。カッパにしか答えられない質問に答えられたら正真正銘のカッパだろ?」
山「わかりました。それなら…」
カ「あとその前に、あんたは俺の命の恩人だ。俺に敬語を使わないでくれ。」
山「…わかった。普段はどこに住んでるの?キュウリは好きなの?」
カ「川の上流の山ん中だ。キュウリは大好き」
山「じゃあ次は名前を教えて」
カ「カッパだって。」
山「カッパなのはわかったから君の名前を教えてよ」
カ「名前?だからカッパだって。」
山「それは種族名じゃん。僕の名前は山葉。人間という種族の山葉なんだよ」
カ「…カッパそれぞれに一カッパ一カッパの名前があるってことか?」
山「そりゃそうでしょ。仲間どうしでカッパカッパって呼び合わないでしょ?」
カ「俺にカッパ以外の名前なんて無ぇよ。他のカッパに会う機会も無ぇし。」
山「仲間がいない?そんな訳ないだろ。もっとマシな言い訳を考えなよ。あんたはカッパじゃない。」
立ち上がろうとする。
カ「小ちゃい頃は家族がいたんだ。だけどはぐれてしまった。名前もあったかもしれないけど覚えてない。」
山葉は再び腰をおろす
山「….今のが嘘には聞こえなかった」
カ「じゃあカッパって信じてくれるか?」
山「それはまだ断言できないけど。悪いやつではなさそう、変なやつだけど。」

暗転
ペット探偵’sとポチ子のシーン
『探偵ぽい音楽(ピンクパンサーのテーマなど)』
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