コメディ「カメレオン」105分
1話『透明人間』
【登場人物】
冨田加代子:自分に価値のない人間の姿が見えなくなっている
九条小春:加代子の友達
轟俊哉:小春の先輩、イケメン
大野純平:小春の先輩、料理が得意
【本文】
舞台上は下手前、下手奥、上手奥から出ハケができる。下手奥の出ハケ口にはスライド式の扉が設置されている。またこの作品ではキューブを椅子や机、その他の舞台美術として見立てて使う。
場面はカフェ。下手前からハケた先は店の出入り口に繋がっている。上手奥からハケた先にはさらにカフェスペースがある。
舞台中央には直方体のキューブが寝かされて置いてある。この場面ではカフェの机として扱われる。机の上にはメニュー表。
カフェの机を挟むようにして立方体のキューブが上手と下手に1つずつ。この場面ではカフェの椅子として扱われる。
加代子、下手側の椅子に座っている。挙動不審でソワソワしている。
小春、下手からやってきて上手の席に座る。
小春「お待たせー。ごめんね、遅くなって。……なんか頼んだ?」
加代子「いや……まだ」
小春「あ、そう。すいませーん。え、何にする? 私、この新メニューっていうの気になってるんだけど」
店員(無対象)、上手奥からやってくる。
小春「あれ、今日シフトだったんですか!。えっとじゃあ、この、超特製アイスコーヒーで。加代子は?」
加代子「え? あ、私もそれで」
小春「じゃあそれ2つで。……え、どうする?」
加代子「え? あぁ、良いんじゃない?」
小春「そう? じゃあ、お願いしまーす」
店員、上手奥にハケていく。
小春「いやぁ、なんか食べるのもアリだったかなー。え、お腹空いてる? なんか二人で分けられるもん頼まない?」
上手奥から轟と大野(無対象)、やってくる。
轟、小春の肩を叩く。
轟「よっ」
小春「あれ! どうしたんですか!」
轟「向こうで打ち合わせ」
小春「え、お二人で?」
轟「そ。珍しくこいつと一緒にプロジェクト任されて。お友達?」
小春「はい。あ、インターン先の社員さん」
轟「初めまして。轟です」
加代子「はじめ、まして」
大野がなんか言う。
反応する轟と小春。
轟「違うだろ、なんでそうなるんだよー」
小春「ほんと大野さんって天然ですよね」
轟「ごめんね、変な男で」
加代子「え? あ、はい」
轟「じゃあ、また」
小春「はーい、お疲れ様でーす」
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