ハルカカナタ
演劇フェスティバルワークショップ台本
『ハルカカナタ』
登場人物
遥
美代子
祖母/母
幸子
先生
警察
#1 ひいおばあちゃんち
家の中。
携帯をいじっている遥。祖母が出てくる。
祖母 ほら、遥!何しに来たかわかってる?
遥 曾おばあちゃんの遺品整理でしょ?
祖母 わかってるなら手伝ってよ
遥 はいはい。ちょっと待ってて。
祖母は片づけを進めるが、遥は携帯をいじったまま。
祖母はそれに見かねて。
祖母 遥!
遥 はいはい。
遥、注意され、手を動かし始めるが、LINEの通知が来ると手を止めて返信する。祖母は片づけの出入りをする中でまた遥のその状況に気づき、ため息交じりで。
祖母 遥、あなた、ずっと携帯ばかりいじって、病気よ。
遥 うるさいな。お祖母ちゃんには関係ないでしょ!
祖母 関係あるでしょ!まったく…
遥 今は友達とのやり取りもぜーんぶこれなの!
祖母 そうかい。私たちにはわからないね。
遥 今の時代はこれがないと何もできないの。
祖母 そんなのをピコピコやって…せっかく江南に入ったっていうのに。
遥 学校は関係ないでしょ。行けるところに行ったっていう感じだし。
祖母 遥、学校に行けることがどれだけ幸せなことか、わかってる?
遥 うーん、別に。みんな行ってるし、普通じゃない?
祖母 遥、この先のことちゃんと考えてる?
遥 まあ、なるようになるでしょ?
祖母 (ため息)曾お祖母ちゃんはあんたが江南高校に入ったって喜んでたのよ。
遥 曾おばあちゃんが?なんで?やっぱりいい大学に行ってほしかったのかな?
祖母 いえ。曾お祖母ちゃんね、戦争で平塚が空襲を受けたときに江南まで逃げて助かったんだって。
遥 え?曾おばあちゃん、戦時中生きてたの?っていうか、平塚って空襲受けてたんだ。
祖母 あんた、江南に通っていながら、そんなことも知らないのかい?
遥 別に受験に出ないし。
祖母 それだけが勉強じゃないでしょ。
遥 はいはい。大体のことはこれ(スマホ)で解決できるから。
祖母 まったく…
祖母一息ついて
祖母 戦争を生き抜いても年には勝てなかったね。
遥 私、ひいおばあちゃんのこと何も知らないや。戦争のことも聞いたことなかったし。
祖母 私も空襲にあったこと以外聞いたことないよ。きっとつらいことがあって話したくなかったんだよ。
遥 ふーん
遥、祖母との会話をしながら、それでも携帯を離さない
祖母 ほら、そんなことより手を動かして…
祖母出ていく
遥 戦争か…何年前なんだろ?
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