'92.12.23(15分)
■■■
床の間で俯いていた男が顔を上げる。
少し辺りを見回して自分が何処にいるのか認識する。
男 (溜め息)
顔ごと天井に目を向ける。
男 (疲れた様に息を吐きながら)ああー…。
廊下側から友人の声が聴こえる。
友 これ何処に置くー?
男、キッチンに目を向ける。
男 いいよ、その辺で。とりあえず。
友 分かった。
男 え、何処に置いた?
友 此処。
男 何処だよ。
男、目で見て確認する為に廊下へ近付く。
通路を塞ぐ様に置かれた荷物が目に入る。
男 邪魔だろ。次の荷物どうすんだよ?
友 また取りに行くよ?
男 取りに行った後どうすんだよ。通れないだろ、これじゃ。
友 あー。
男 あーじゃねぇよ。少しは考えろ。
男、和室から出る。
キッチンの隣にある小和室の襖を開けて中を確かめる。
男 …いいや、一旦キッチンで。
友 キッチンで何かするの?
男 なんだと思って見てたんだよ。その荷物、キッチンに置けって。
友 料理する時、邪魔じゃない?
男 お前料理するのか?
友 しない。
男 だろ。俺もしない。料理の為にキッチンを空けておく必要はない。
友 そっか。分かった。
音 その窓の辺りでいいから。
男、和室に戻る。
友 ちょっと休んでいい?
男 自分で決めろよ。自分が休むかどうかくらい。
友 いい?
男 (溜め息) いいよ、休めよ。
友人、和室に入る。
二人とも座る。
男 お前さ、自分で考えらんないの?
友 考えてはいるよ?
男 考えてないよ。
友 考えてるけどなー。
男 自分で判断して決める。それが出来てねーよ。
友 あー、苦手かも。
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