廊下は歩け、メロス。
廊下は歩け、メロス。
太宰治/原作
りん檎/脚色
(生徒脚色脚本)
【 概 】
メロスは激怒した。必ずかの邪智暴虐の生徒会長を除かなければならぬと決意した。メロスには恋愛というものがわからぬ。…ってわけで、私の名前は「ナレーター」。変な名前だって?私はそうは思わないよ。だって今から私が語るメロスの日常の方が、うんと変な感じだもの。
【 登場人物 】
メロス 男 熱くなりやすい。ちょっと抜けてたり。
セリヌンティウス 女 メロスの幼馴染。メロスが好き。
ナレーター 女 冷静。メロスのツッコミ役。
お母さん 女 山田マロスさん。
フィロストラトス先生 女 廊下を走る生徒にアレルギーあり。
ローヤちゃん 女 毒舌で情報通。
ディオニスくん 男 生徒会長(作中の)
本物の生徒会長 男 生徒会長(まじ)
アレキス(以下略) 女 ディオニスの彼氏。鼻につく女の子。
ネルヴァ 女 一軍女子
トラヤヌス 女 一軍女子
ハドリアヌス 女 一軍女子
ピウス 女 一軍女子
他、ラップバトルシーンは援軍が来る(?)最後も援軍加えてダンスする(?)
口調が時々変になるのはぼくがその時突然原作を思い出したからです。
音響や照明の指示は多くありませんが、演出でたくさん追加をしても構いません。
この作品はフィクションであり、実在の人物や事象に何ら関係ありません。表現の都合上句読点を省いた箇所が存在します。【 第〇場 場内アナウンス 】
(↓アレンジ加えてどうぞ)
ナレ ご来場の皆様に演劇部の上演につきましてご案内をいたします。この作品はフィクションです。もう一度繰り返します。フィクションです。原作ファンによる怒りの声を受け付けることはできません。では、まもなく<学校>高校演劇部<文化祭>ステージ公演、「廊下は歩け、メロス。」原作、太宰治、脚色、りん檎、を、上演いたします。
【 第一場 】
ドドドドドドドド。
下手に布団を敷いてメロスが寝ている。ナレは上手から出てくる。
ナレ メロスは激怒した。必ずかの邪智暴虐の王を除かなければならぬと決意した。メロスには政治がわからぬ。
メロス、起きる。
メロス んんん、ん、あ、ナレーターおはよ。あ、そうだ、ねぇねぇ聞いて。
ナレ ん?何だ?メロス。
メロス 夢見たの。牧人になる夢。よくわかんないけど、面白かったー。
ナレ メロスは村の牧人である。笛を吹き、羊と遊んで暮して来た。
メロス そ。そんな感じ。
ナレ けれども邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。きょう未明メロスは村を出発し、野を越え山越え、十里はなれた此のシラクスの市(まち)にやって来た。
メロス そして七時五十分に家の布団で目が覚めた!
お母さんがやってくる。
お母さん あんたまだ布団の中にいたのね。早く起きなさい!また今日も遅刻しちゃうでしょ!メロス、もういい加減高校生なんだから八時三十分に駐輪場に到着して読書してる人たちを横目に廊下を走るのはやめなさい!またセリヌンティウスちゃんのお母さんが教えてくれたのよ。いい?あなたは遅刻なのよ!
ナレ メロスには父と母がいる。高校生なので女房はない。ちなみに彼女もいない。ちなみに、言えないでいるが、セリヌンティウスちゃんのことが好きである。
メロス しっ、言わない!
ナレ 人生イコール彼女いない歴である。そして、彼女いない歴イコール彼の全人生になりそうな勢いである。セリヌンティウスちゃんは、私がもらおうと思う。
メロス うるさいな!お前はさっきから何なんだ!
ナレ メロスには十六の内気で美しい妹があった。この妹は律儀な一人の男子高校生と付き合っており、彼と会うために既に学校に出かけたのだ。
メロス あっ、そうじゃん遅刻しちゃう!あぁもう!やばいって!
お母さん あんた朝ごはんは?!
メロス 食べない!行ってきます!
お母さん あんたったら!もう!
緞帳アップ
ナレ かくして、メロスは<学校>高校へと彼の身に鞭打ち駆けた。彼は夢の中では三日の猶予を与えられたのに、あぁ、何と無情な。現実は三十分である。走れ!メロス!
教室セット。チャイム。
メロス あぁ、このチャイムがなり終わってしまわぬうちに、教室にたどり着くことができなかったら、私の遅刻日数がまた一日増えてしまうのです!
ナレ メロスはぜいぜい荒い呼吸をしながら階段を上り、また廊下を走り出そうとしたとき、突然、目の前に
【 第二場 】
フィロストラトス先生がいきなり目の前に現れる。
フィロ メロス待ちなさい!
1/5
面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種
Windows
Macintosh
E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。