もしも時間が買えたなら
『もしも時間が買えたなら』
舞(マイ)・・・バイトちゃん
黒野(クロノ)・・・店長
昌志(マサシ)・・・中学生。
真(シン)・・・俳優の卵。
今田(イマダ)・・・医者。
柚子(ユズ)・・・母。
真季(マキ)・・・妹。
拓(タク)・・・弟。
田舎の小道。不動産のような建物のお店がある。マイはお店の前をほうきで掃いている。クロノは店の中を掃除したり整理したりしている。マサシ登場。
マサシ は~あ。今回のテストも全然ダメだったな。なにが「もっと勉強しなさい!」だよ。習い事行ったり、遊んだり、寝たりしてるんだから勉強する時間なんかこれっぽっちもないっつーの。そりゃ、俺だってもっと時間があればちゃんと勉強しますよ。あ~あ。もっと時間増やせないかな~。
マイ 本当に時間が増やせるって言ったらどうしますか。
マサシ え?
マイ もしも、あなたが使える時間が増やせるって言ったら、どうしますか?
マサシ どうしますかって、そりゃ増やすに決まってるでしょ。
マイ それじゃあ、増やしてみますか?時間。
マイ ふふ。それはどうでしょう。
マサシ え、からかってるんですか?
マイ いえいえ。そんなつもりはありません。まあ話だけでも聞いていってくださいよ。だまされたと思って。
マサシ (看板を見て)時香堂・・・?こんなところにこんなお店あったっけ?
マイ 店長!お客様です!
マサシ え?
クロノ お、いらっしゃい。さあさあ、こちらの席へどうぞ。
マサシ え、
マイ さあさあ!
マサシ え、あ~、じゃあ、はい。
マサシ店内へ。席に座る。マイは店の外でほうきを掃く。
クロノ 申し遅れました。私はこの時香堂の店長のクロノです。よろしくお願いします。
マサシ よ、よろしく。
クロノ お客さんのお名前は?
マサシ マサシ、です。
クロノ 年齢は?
マサシ え、十四だけど。
クロノ ひょえ~若いね~。それじゃあ全然時間足りないでしょ。
マサシ まあ、そう、かな。
クロノ このお店ではね、そんな人のために時間を売ってるんだよ。
マサシ 時間を・・・?
クロノ そう。どんなに優れた人でも、やりたいことがたくさんある人でも時間は平等。一日は二十四時間。そんなのおかしいと思わない?
マサシ は、はあ。
クロノ やりたいことがたくさんあるならその分時間が増えればいいのに。そう考えた私が作り出したのがこちら!ばばーん。(小瓶を取り出す)
マサシ これは?
クロノ これがそんな願いを叶える煙、時香(じこう)なのです!
マサシ じこう・・・?
クロノ まあだまされたと思ってさ、このふた開けてみてよ。
マサシ、恐る恐る瓶のふたを開ける。すると瓶から煙が立ち込め、煙が部屋に充満
する。マサシとクロノには変化はない。マイ、ストップモーション。
マサシ いや、何も変化ないじゃん。もう帰りますね。
クロノ それはどうかな?(窓の外を指さす)
マサシ ・・・え?
窓の外を見ると時間が止まっている。
クロノ な?いっただろ?
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