無題 時間と言葉の曖昧性、演劇と身体の可能性についての実験  
無題 時間と言葉の曖昧性、演劇と身体の可能性についての実験

作:出囃子小林
 

A 先生
B 生徒
C 母親
D 列に並ぶ人
E 釣り人
F 穴を掘る人
G 友人
H 未来人
 
指定の道具は無い。自由な空間。
時計はいくつあってもよいし、無くてもよい。
B以外の全ての人物は腕時計をつけて登場。
A こんな夢を見た。
B 先生。
A え。
B 時計が壊れてしまいました。
A あ、ああ。
B 時計が壊れてしまいました。
A 時計が。
B 時計が。
A 時計が壊れたのか?
B いいえ。時計が壊れたんです。
A 壊れたのか。
B 壊れたんです。
A 壊れたんじゃないか?
B 壊れたんでしょうか。
A 壊れたんだな。
B 壊れたんですかね。
A 壊れたんだ。
B 壊れたようですね。
A 何が?
B 時計が。
A 時計が?
B 時計が。
A 壊れたのか?
B いいえ。時計です。
A 時計じゃないのか。
B 壊れたんです。
A 壊れたのか。
B 時計が。
A 時計が壊れたのか。
B はい。時計が壊れてしまいました。
(このやり取りを10分弱続ける)
A 友達から借りなさい。
B 誰も余分に持ってないんです。
A そりゃあそうだろう。誰も自分の時間以外の時間なんて余分に持っていない。
B ではどうしましょう。
A 自分で作りなさい。
B 時計をですか?
A 時間をだ。
B そんな時間はありません
A いいや、あるだろう。(腕時計を見る)あと十五分ほど。
B (腕を見る)ありません。それは先生の時間です。
A そうか。
B そうです。
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