創作おばけ

『創作おばけ』

脚本:仲沢 実桜


【登場人物】
●おばけ(お) ……創作に向かう意欲や価値観が擬人化した存在。人間に取り憑いて、人間を創作に駆り立てる。取り憑いた主との関係は、どこか恋愛関係にも似ている。
●美術部の真(真) ......まこと。中学高校で美術部に所属。就職先は中小デザイン会社。

●小学校の友だち(友) ……真がいた小学校での友だち。
●会社の先輩(先) ……真が就職した中小デザイン会社の先輩。

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【出会い】

 真は小学4年生で、教室で机に向かって絵を描いている。
 おばけは陰から真を見ている。

真  描くのってたのしい……僕、これ好きかも

 おばけが真に近づく。

真  僕……君のこと好きかもしれない
 真が自分のそばに来たおばけに向かっておそるおそる手を差し伸べる。
 真とおばけは握手する。

 真の友だちが真を呼びに来る。

友  まことー何やってんの?外いこー
真  (おばけの手を引いて)この子も一緒に行っていい?
友  ……?誰かいるの?

 友だちには創作おばけの姿は見えていない。
 友だちについて行く形で、真は外に出ていく。おばけは真と手を繋いだまま真の後に続く。


=== 場面転換 長 (暗転)===
真:舞台端へ退く→制服のシャツを来て入場→椅子に座る
お:舞台端へ退く→真の後にくっついて入場→真の横につく
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【付き合いはじめ】

 中学生になって美術部に所属した真。
 真は自分の部屋で紙に向かって何かをスケッチしている。
 おばけはその横についている。

お  何描いてるの?
真  中学の運動会のクラスTシャツ、僕のデザインが選ばれたんだー。ホームルームの多数決で、まあ僕のやつになりそうだな、って予感もあったけど
お  うれしいね
真  君も描いてる横でイイって言ってくれてたもんね
お  うん。僕は君の絵好きだよ
真  好きって、いくらでも言われたいや
お  好きだよ

 真はおばけに視線を移し、少し間を置いてからスケッチに戻る。

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