セイシュンマンVSシンコロマン
瀬戸山光子作
セイシュンマンVSシンコロマン
コロナ禍真っ盛りの時代、青春をコロナに奪われそうになった高校生アオイは、マスク星からやってきたマスクマンたちと共に、青春パワーでコロナウイルス(シンコロマン)に立ち向かう。今やすっかり終わった話感のある新型コロナウイルス騒ぎを、一番影響を受けた世代の高校生を主人公に描く戦隊もの風コメディー。まあ、歴史モノだと思って、こんなことがあったなーという感じで見てください。
2020年度に入学した学年の送別会で上演したものを、どこの高校にもあてはまりそうな内容に書き換えたものです。
登場人物
アオイ 高校生。中学時代から素顔を見られるのが恥ずかしくていつもマスクをしていた。ついでにいうと花粉症。
ハル 高校生。あおいの中学からの同級生。体育系でちょっとがさつ。
ヒカリ 高校生。まじめでおとなしい。
シンコロマン 新型コロナウイルス。ウイルスの形のかぶりものをかぶり、マントを羽織っていて、手にはコロナウイルスの形のかざりがついた杖を握っている。みんなにバイキン扱いされている。ウイルスなのに。
マスクマン 戦隊ものの衣装にマスクをしている。マスクは最初はいわゆる「アベノマスク」、その後不織布マスクに。背中には大量の「アベノマスク」をつないだマントを羽織っている。
ウガライマン 体は石鹸の箱、頭にはうがい薬のボトルをかぶっている。常にコップを片手に、うがい手洗い(ウガライ)を推奨する。
アルコールマン 消毒用アルコールスプレーのボトルの恰好をしている。
ワクチンマン 白衣をまとい、悪役っぽいサングラスを付け黒いマスクをしている。両手は注射器の形をしていて、それぞれ「1回目」「2回目」と書かれている。
パーティションマン 全身白の衣装。木で枠を組んだ巨大なパーティションを常にもっていて、会話をする人の間にさりげなく差し込む。無口。
買い占めオバサン デマを広めたり、買い占めに走ったりする迷惑な人。こんな人いたよねー。
テレビ コロナ関連の報道を流すテレビ。テレビの恰好。美声。
黒子 防護服にいかついマスクという恰好で小道具の出し入れなどにくる。黒くないけど黒子。
ヒカリの母 普通の人。
舞台配置
舞台奥に段が組まれる。大道具はシンプルな箱などを使い転換がしやすいようにする。
1場 2020年1月
不気味な音楽と共に緞帳が上がり、舞台中央手前にサスがつく。テレビがサス明かりの中に立っている。
テレビ それでは次のニュースです。中国湖北省の武漢市で、原因不明の肺炎に27人が感染し、いずれも発熱や呼吸困難などの症状を訴えているということですが、現在のところ、それ以上の感染拡大はみられないということです。さて、続いてはいよいよ半年後に迫った東京オリンピック・・・。
ノイズ音が入りテレビははける。
穏やかなBGMにかわり、上手側奥のサスがつく。
2場 2月
ヒカリが座って勉強をしている。ヒカリの母がやってくる。
ヒカリの母 ヒカリ。
ヒカリ うわ!びっくりした。脅かさないでよ。
ヒカリの母 ああ、ゴメン。聞こえてるかと思った。
ヒカリ ううん。いいよ。ちょっと休憩したかったし。
ヒカリの母 合格したにのまだ勉強してるの?
ヒカリ うん、私推薦だから、一般の子たちに勉強負けないようにしないと。
ヒカリ少し浮かない顔をする。
ヒカリ 高校入ってから、大丈夫かなあ・・・。
ヒカリの母 それだけ勉強してれば大丈夫よ。
ヒカリ そっちじゃないんだ。うちの中学から同じ学校行く子いないからさ。入ってから友達できるか心配で・・・。どんな子たちと一緒になるんだろう・・・。
上手のサス消える。下手のサスがつく。アオイとハルが向かい合って座っている。
ハル ブアーックショイ!
アオイ ちょっとハル、くしゃみでかすぎ。
ハル いやあ、私もアオイみたいに花粉症になったかな。
アオイ 今年過去最大の飛散量らしいからね。
ハル なんかそれ毎年言ってない?あ、あ、ヤバ!ティッシュ貸して!
アオイ あ、はいはい!
ハル思い切り鼻をかむ。
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