星と屋根とあなた
屋根とあなた

登場人物
僕・・・この物語の主人公。貴女よりは若い。健気な性格で忠実に尽くすタイプ。自分の体を顧みない。登場時には自暴自棄を含んだ性格を持っている。

貴女・・・僕よりは年上のイメージ。星が好き。人よりも白い肌をしている。自分の好きなものがしっかりしているイメージ。男性の思い描く女性の不思議な部分をそのまま形にしているキャラクター像。


    どこか殺風景で抽象的な景色。心象風景。
    「僕」の荒む心情を表すような砂漠。風速を感じる吹き曝し。
    誰かが築いた四方を囲む壁がある。屋根はない。
    目線を足元に落としながら、重い足取りで進んでいく。

僕  どこかを歩いていた。水が抜けきった砂漠みたいな場所だった。自分の体などどうでもいい気もしたのだが、疲れた僕は、休める場所を探していた。ふと目線を上げると、壁で切り取られた空間を見つけた。静かな空間だった。惹かれるように・・・・・・

    「僕」、その中に入っていこうとする

僕  屋根はなかったが、風と砂を防げるだけでもありがたかった

    建物の中には「貴女」がいる

僕  人が座っているのが見えた。目を凝らして見ると・・・・・・それは僕が初めて見た貴女だった

僕  あなたは僕にこう言った

貴女 私はね、星が好きなの

僕  僕はとっさにこう答えた。「僕もです」

貴女 あら、気が合うわね

僕  貴女はそうやって答えて、また星を振り返った。僕は、僕を映したあの瞳を忘れられない。あの儚く澄んだ黒い両目が、とても綺麗で仕方がなかった。

僕  「ここで一緒に暮らしませんか?」

僕  あの目がもう一度僕を見る。綺麗な目だ。とても綺麗な目だ

貴女 ええ、ぜひ

僕  この時から僕たちはこの地で身を寄せ合った。家は壁。屋根はなく、雨や太陽から守ってくれはしない。それでも僕たちにとってここは家であった。だから、お互いが何を言うでもなく、この場所に留まった。この砂漠を抜けたもっと先で桜が散る頃、貴女は星と僕を、僕は星と貴女を見ていたこ。ここから確かに星が見えたんだ

    砂漠に草木が芽生えるような生命感が満ちる。その中で二人でしばらく暮らしている。
    春の終わり。空が雲に覆われ始めた。雨の季節が来る。
    「貴女」、なんてことのないように口を開く。

貴女 もうすぐ梅雨ね

僕  そうですね

貴女 雨が沢山降るんでしょうね

僕  このままじゃ雨晒しですね

貴女 どうしましょう

僕  雨具を買いましょう。傘を買ってきますよ

貴女 傘?

僕  二人で入れるような、大きめのやつをです
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