キャリーの恥さらし!
ユージン:キャリー!キャリー・ランジュイ?うわぁ、本物だ。ようこそ。

キャリー:初めまして!あなたがユージン?

ユージン:そう、あなたの大ファンのユージン!来てくれてありがとう。我が校始まって以来の名誉だよ。

キャリー:びっくりしたわ、ここが私の母校だっていうこと、若い頃のインタビューで一回しか言ったことないんだもの。卒業式という記念すべき場に招いてくれてありがとう。あなたは校長先生なの?

ユージン:はは、違うよ、しがない学年主任なんだ。そういえば副校長もあなたの大ファンなんだけどさ、彼、いまは運悪くカナダに出張してるんだ。

キャリー:あらっ、卒業式なのに。

ユージン:そうだよ。彼の実家で何かあったらしくてね……。朝から電話でキャリー・ランジュイは来たか、キャリー・ランジュイはまだかって、五月雨式さ。

キャリー:そうー、じゃああたし副校長先生に電話したいわ。

ユージン:本当に?卒倒しちゃうよ。掛けるね、待ってて……。ハロー、リチャード!今、時間OK?君と話したいって人がいるんだ………今から代わるけど、びっくりだよ……誰って、今代わるよ

キャリー:ハロー副校長先生!キャリー・ランジュイよ!……そう?本当?あたし学校って一度来てみたかったの。うん、とっても素敵よ。山の下から見ると校舎がまるでツリーハウスみたいに見えたわ……ええ、もちろん、ううん。いいのよ。サイン?ええ、しておくわ、それじゃ、バァイ。

0:(電話を切る。ガチャン!)

ユージン:ありがとう、とても喜んだよきっと。あ、あのぅ。ところで僕にもサインが欲しいって言ったらどう?

キャリー:ええ、いいわよ!

ユージン:最高。じゃ、じゃあこれに……

キャリー:えっ、これ!『ライラインザクローゼット』の初版本じゃない?じゃあ初期のダサいサインしてあげるね。

ユージン:うわぁサンキュー、十年越しの夢がかなった!いや実はさ、学生の頃にあなたのサイン会に並んだことがあったんだけど、緊張しすぎて途中でトイレに逃げて、……それで気持ちよくトイレしてる間に終わっちゃったんだ、サイン会。

キャリー:そんなおもしろいことがあったのね。『ライラインザクローゼット』は本当、少女趣味って言われてね。有名な女性作家からずいぶん批判されたわ。

ユージン:あ、そういうおもしろい話はあとで聞きたいな。生徒たちも聞きたいだろうから。うーんと、あと少し時間あるね。何か飲む?

キャリー:チェリージュースがあったらそれを。

ユージン:チェリージュース。さぁ、あるかな……クランベリージュースならあるよ

キャリー:ない?無ければいいわ。チェリージュースはうちで作れるし。

ユージン:家で?

キャリー:庭で籠に二杯も三杯もとれるのよ

ユージン:へぇ。僕の祖母の家にもチェリーの木があったなぁ。

キャリー:でね、収穫時期になるとたいへんなの。ロバートと取りあいよ。

ユージン:ロバート?恋人?

キャリー:そうね、渡り鳥なの。黒ツグミなのよ。

ユージン:そりゃあいい。そうだ、あなたが差し入れたピザとってもおいしかったよ。

キャリー:えっもう食べたの?おいしいでしょ?トリプルペパロニとトリプルチーズなの。特注よ。

ユージン:背徳的なヤバイ味だった。僕たちは大人だからギリギリ。生徒たちは気絶しちゃうね。

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