届かなかった光
不朽の名作を現代へ
題名 【届かなかった光】
登場人物
・灰崎 夜鷹…大学2年生。男。根暗陰キャを自覚している文学少年。
・ひかり…大学2年生。女。明るい陽キャ。夜鷹とは大学も同じで近所。(歩いて5分)
※場所は公園のベンチ、夜の21:30。
夜鷹「今も燃え続けている。」
ひかり「…へ?」
夜鷹「隣にはカシオペア座。後ろには天の川。」
ひかり「七夕のお話?」
夜鷹「どうしてそうなる?」
ひかり「だって天の川だべ?」
夜鷹「あのなぁ…。」
ひかり「夜鷹。ほんとに文学少年だね!」
夜鷹「?」
ひかり「だって本が好きだべ?」
夜鷹「まぁね。てか、その岩手弁さっさと抜け切って貰ってもいいかな?」
ひかり「むーりだよ。岩手から来てまだ2年だっちゃ♡」
夜鷹「はぁ…。2年も経ってるならもう…。いや、なんでもない。」
ひかり「あぁ!ごめんて!!」
夜鷹「分かればよろしい。南部さんに簡単に教えてあげよう。この本は七夕のお話じゃなくて鳥さんのお話だ。」
ひかり「鳥さん…?なんの鳥?!」
夜鷹「夜鷹だ。夜に鷹と書く。」
ひかり「夜鷹…夜鷹…一緒だ!!」
夜鷹「そうだな。」
ひかり「てか!鳥さんとか私のことバカにしてるでしょ!最初から夜鷹の話って言えば良いのに!!」
夜鷹「今頃?!」
ひかり「なんて名前の本?」
夜鷹「宮沢賢治童話名作集にあるよだかの星だよ。」
ひかり「あ!宮沢賢治知ってる!うちの地元の人!」
夜鷹「でも岩手って言っても広いからな。」
ひかり「文学少年の夜鷹くんよ、この本は何周目?」
夜鷹「うーん…軽く15かな。」
ひかり「やっぱり!さすが文学少年!」
夜鷹「あと、付き合っても無いのに呼び捨てなのは少し…。」
ひかり「え?付き合ってなくても下の名前で呼ぶくない?」
夜鷹「そうではなk…。」
ひかり「良いじゃん!灰崎さんって他人ぽくて嫌だな〜。」
夜鷹「あのなぁ…」
ひかり「それに私たち大学入ってからずっと仲良しだよね?」
夜鷹「僕みたいな根暗陰キャが南部さんみたいな陽キャと一緒に居るのは変だろ?」
ひかり「分かってはいるのね。」
夜鷹「それもなんか傷付くな。」
ひかり「良いじゃん。こうやって今日2年生になってやーっと!私のこと呼び出してくれたんだし!」
夜鷹「南部さんが喜んでくれてるならいっか…。」(小声で)
ひかり「なんか言った?」
夜鷹「いや…なにも。」
ひかり「それで、珍しいね?なんで私のこと公園に呼んだの?よだかの星と何か関係あるの?」
夜鷹「……いや、特に用はない。」
ひかり「えー!無いのぉ?」
夜鷹「うん。無い。」
ひかり「まぁ、家もカップラーメンにお湯入れて持って行けるくらいの距離だもんね?すぐ会えるもんね?」
夜鷹「まぁそうムキになるなって。それになんだその表現は。」
ひかり「夜鷹が私を呼び出すなんて珍しいもん!」
夜鷹「まぁ……。うん。呼んだのは…ただ…。」
ひかり「ただ?」
夜鷹「……。」
ひかり「何よ!下向いちゃって!なぁーに!教えてよー!」
夜鷹「ううん。やっぱ…なんでも…。」
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