約束の同窓会。
『約束の同窓会。』
作：音佐りんご。
友と交わした約束は時を超えて――。
◇あらすじ◇
かつて仲の良かった友人達が集まる同窓会。居酒屋の個室で待つ彰良の前に現れたのはしかし見知らぬ人物。姿の変わった友人に戸惑いながらも、旧交をあたためる二人。そして予定の時刻、突如空間を引き裂いて登場したのは勇者風の装束に身を包んだ謎の人物。怪しげな侵入者に一触即発の事態、それを諫める為に更に二人の友人が現れて……。果たして、変貌を遂げた友人達に何があったのか。明かされるそれぞれの過去とは。
◆ちゅうい◆ ※声劇配信向け案内
アドリブや性別変更、演者の性別のあれこれは演者さん同士で話し合っって問題なければご自由に。
登場人物の名前以外読み仮名降ってませんので、読み方もご自由に。
本作、文字数が18,000字程度なので、60分尺程度です。
◆登場人物◆
彰良：末元彰良（すえもとあきら）
彰良：十年前、大学を卒業して以来顔を合わせていない友人達ともう一度会いたくなり同窓会の招待状を出したということになっている。
明日華：東条明日華（とうじょうあすか）
明日華：ある事件で瀕死の重傷を負い、心臓をくれた彼女の願いに応え、世界を平和にする為、性転換して暗殺者になった。捨てた名は西城京太郎（にししろきょうたろう）
カイ：カイ・シュタイン・ハイアット
カイ：ある事故で行方不明になっていたが異世界に転生しており、世界を滅ぼす魔王との終わりなき戦火の中から、招待状を頼りに一時的に帰ってきた。前世の名は右左林陸斗（うさばやしりくと）。
吉喜：大中吉喜（おおなかよしき）
吉喜：ある日突然神隠しに遭い、気が付くと並行世界で眼を醒まし、宇宙の均衡を保つため奔走していたという認識を持つ。元の名は喜吉中大（きよしなかひろ）
Ⅸ号：白のⅨ号（しろの９ごう）
Ⅸ号：生みの親であり献体となった人物の人格をトレースした高性能生体アンドロイドであり、不安定な世界を平定するために作られた。献体名・制作者名――黒原いち子（くろはらいちこ）
◇◆◇
居酒屋の個室。
テーブルには五人分の取り皿、箸、おしぼりが並んでいる。
席の端に彰良が座っている。
彰良：……キョウ、リク、ヒロ、いち子。
彰良：あれからもう、十年か。
店内の喧噪。
彰良：……時が経つのは早いなぁ。
彰良：なのに、二十時五十五分。
彰良：約束までの十分はこんなにも……。
扉を開けて明日華が顔を出す。
明日華：はぁい！ 久しぶりね！
彰良、明日華を見て固まる。
彰良：……。
明日華：……。
彰良：えっと……。
明日華：はぁい！ 久しぶりね！
彰良：え、いや、え？ 久しぶり？
明日華：元気してた？
彰良：……あの、すみません、部屋間違えてないですか？
明日華：えぇ？ えーっと、石英の間。合ってるけど？
彰良：合ってる？ え、そんなはず……。うーん……？
明日華：それに、ほら招待状。これあんたが出したんでしょ？
彰良：招待状……？ そんなもの出したっけな……。っう……！
明日華：どしたの、体調でも悪いの？
彰良：いや、ちょっと目眩が。
明日華：大丈夫、彰良？
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