命短シ、恋セヨ乙女。
かんから館 第四十七回公演 台本

命短シ、恋セヨ乙女。            作 川村武郎



 〈キャスト〉

  吉村奈緒(公務員)
  西条有佳(大学生)
  小野和美(大学生)
  高橋渚(高校生)
  須藤達彦(無職)





    とある場所の、とある室内。
    テーブルと椅子がある。
    緑と有佳が座っている。

渚   ちょっと暑くないですか?
有佳  そうですか? ‥‥私はちょうどいいです。
渚   ああ‥‥そうですか。
有佳  ‥‥私、冷え性なんです。夏でもクーラーとか苦手で。喫茶店やデパートとか行くと、寒くって。‥‥ああいう所って、やたらと冷房入れてるじゃないですか?
渚   え? そうですか?
有佳  ええ、入れてますよ。‥‥あの、髙橋さん、アルバイトとかはしてます?
渚   え? ‥‥ああ、まあ、コンビニとか。
有佳  コンビニとかも冷房きつくありません? それに、立ちっぱなしだし‥‥。
渚   そうでも‥‥ないですよ。‥‥立ってるのは、もう慣れちゃったし。
有佳  ああ、そうですか。
渚   ええ。

    しばしの沈黙。

渚   ‥‥けっこう待たせますね。
有佳  そうですね。
渚   もう三十分は経ってるんじゃないですか?
有佳  ああ‥‥そうかもしれませんね。
渚   ひょっとしたら‥‥もう来ないのかな?
有佳  え? いや、そんなことはないでしょ?
渚   かな? だって‥‥。
有佳  もしそうだったら、連絡があると思いますよ。
渚   ああ‥‥。それもそうですね。

    しばしの沈黙。

有佳  ‥‥あの、ちょっと聞いてもいいですか?
渚   え? ああ、いいですよ。
有佳  どうして高校生なんですか?
渚   え? ‥‥うーん‥‥どうしてかなあ? うーん。
有佳  いや、特に理由がないんだったら‥‥。
渚   夢があるから‥‥かな? そう、たぶん夢ですよ。
有佳  夢?
渚   ほら、社会人になっちゃったら、どんな仕事でも、それなりにイヤなこととかあるじゃないですか。あるいは失望とか。こんなはずじゃなかった~とかね。
有佳  ああ。
渚   だから、夢見てる時が一番いいんじゃないかなあって。
有佳  ああ、なるほど。‥‥でも、それだったら大学生の方がいいんじゃないですか?
渚   え? そうですか?
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