However with Vampire
-豪華客船編-
『However with Vampire』
キャスト
V ヴァンパイア
F 女(ミナ)
M 男(ジョナサン)
#1
V 今は昔、ヨーロッパに恐怖のウイルスが流行した。それは、オリエンタルとの境界線、ヨーロッパの東の果てのトランシルヴァニアの森の奥より現れた。そして、それは、西へ西へと伝播し、やがて、ヨーロッパを恐怖に震撼させることになった。ヨーロッパがそのウイルスに恐れおののいたか、それは、これが感染者を必ず死に至らしめるからだ。不治の病なのだ。ひとたび発症すると、高熱、吐き気、頭痛、下痢に苦しみながら、徐々に衰弱していき、やがては死ぬ。このヨーロッパを震撼させた恐怖のウイルス。その名は「ヴァンパイア・ウイルス」。
SE雷鳴
V なぜ、ヴァンパイアウイルスというか…決して吸血したくなる病気というわけではありません。先ほど、私は、不治の病と申しましたが、自然治癒で治ることがたまにありました。ただそれは死より辛いことなのかもしれません。なぜなら、ヴァンパイアウイルスにかかり、生き残ったものはヴァンパイア…吸血鬼として生きなければならないからです。年をとることのない不老不死の体になって生きなければならない。ヴァンパイアの誕生、これが、ヨーロッパが恐怖に慄いたもう一つの理由です。ヨーロッパでは感染者を隔離し、更なる感染の予防に努めてきました。結果、ヴァンパイアウイルスの猛威は終息し、流行は終わりました。ただヴァンパイアウイルスが地球上から消え果たわけではありません。皆さんも、ヨーロッパ、それも、東欧への旅行の際はお気をつけください。もしヴァンパイアにでもなったら大変ですからね。
#2
SE汽笛。
Vの鼻歌が聞こえる。風呂に入っている。
忘れ物をとりに出てくる。そしてもう一度、バスルームへ。
SEシャワーの音
そして、FとMの声が聞こえる。
M たぶんこの辺だと思うんだけど…
F あ、ここよ。
M お、本当だ!
SE開錠
ドアを開け、二人が入ってくる。
M お、なかなか広いね〜
F すごいきれいね
M だね。
F (窓のところへ行き)みてよ、あの夜景。
M もうこの町ともお別れだ。
F もう戻れないね。
M ああ。
F よかったの?
M かまわないよ。
V、出てこようとして、二人に気づく。
びっくりして、戻る。
様子を伺いながら、自分が裸であることに気づく。
M ほら、暗くなってちゃいけない。これからのことを考えよう。
F そうね。
M どの辺に行く?
F ちょっと待って。地図見たほうがいいでしょう?
M そうだね。
V、意を決して、服を取りに行く。見つかりそうになり戻る。
F、地図をかばんから出す。
二人、ソファに座る。
F この辺なんてどう?
M どんなところ?
F なかなかいいところよ。写真でしか見たことないけど。
M そうだよなぁ。外国出るの初めてだもんね。
F ええ。
M まあ、先は長いし、ゆっくり決めればいいでしょ?
F そうね。船内のほかの人にも聞いてみるのもいいでしょう?
M そうだね。
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