とあるバス停にて
『とあるバス停にて』
少女(17) 女
男(25) 男
死神(?) ?
柔らかい何かが高いところから地面に叩きつけられる大きな衝撃音。
救急車のサイレン。
明転。
夜のバスの停留所の椅子に座って本を読んでいる少女が一人。少女は制服を着ていて、いかにも今どきの女子高生らしい見た目。
しばらくすると舞台袖からひょこっと顔を出す男。落ち着きがなくてキョロキョロしている。
男はおずおずと椅子の方へ近づき、少女をチラチラ見ながらそわそわする。
少女は男に気づく。一度視線を本に戻すが落ち着かなくて男の方をもう一度見て
少女 「…あの…ここ(隣の席)座ります…?」
男 「あっ…じゃあ…」
男、少女の隣に座る。
少女は引き続き本を読む。
男は少女の読んでいる本を驚いた様子で二度見する。そして少女をまじまじと見始める。
少女は男の視線を感じて男から少し距離を取って座る。
男はそれを追いかけるように少女に近づいて座る。先程よりも近い。まだガン見。
また少女は距離を取るが、男はまた追いかける。
少女は流石に恐怖と居心地の悪さを感じて
少女 「(意を決したように)…あの……なんでしょうか…?」
男 「あぁっ!ごめんなさい、つい嬉しくて...!あ、僕怖かったですか?」
少女 「あ、えと、だ、大丈夫です…。」
男 「本当ですか?よかったぁ〜人をジッと見るのはやめろって言われてたんですけどまさかこんなところでそれ(少女の読んでる本を指して)を読んでる人に会えるなんて思ってなかったもんで///」
少女 「はぁ…」
男 「で、どうでした?」
少女 「え?」
男 「それ(本を指して)」
少女 「あ、あぁえぇっと…」
男 「あぁ!!ごめんなさい!まだ読み切ってないのに感想を聞かれても答えようがないですよね!」
少女 「いえっ…もう読み切ってます…。」
男 「あ、そうだったの!?」
少女 「はい…ていうかもう数え切れないくらい何度も読んでます…。」
男 「ええええええ!!!!ほんとにぃ!?うれしすぎるよ〜〜〜〜!!ありがとう〜〜〜!!!!」
男は少女の手を取って握手。上下にブンブンする。
少女驚いて手を引っ込める
男 「で、改めて、どうだった??」
少女 「え、あぁ、お、面白かったです…」
男 「えへへへぇ〜〜〜ほんとに〜〜?照れるなぁ〜〜///(くねくね)」
少女 「…あの…どうしてあなたが喜んでるんですか…?」
男 「え?あっ!!!言ってなかったね!その本僕が書いたんだよ!」
少女 「…え…?」
男 「だから、僕がその本の作者なの!」
少女 「……は…?」
男 「(ほぼ一人言)いや〜やっぱ顔出しとかしとくべきだったのかなぁ〜いやでもそういうのって大ベストセラーとかになってからドドーンと出したいもんなぁ〜あーでもむしろ最初からのほうが…」
少女 「(遮って)ちょ、ちょっと待ってください…!え、あなたがこの本の作者…?(信じてない)」
男 「うんだからさっきからそういってるでしょ?」
少女 「いや待ってくださいそんなわけ無いです。だってこの作家さんまだ生きてますし」
男 「あぁそうそうついおととい死んじゃったんだよね〜。」
少女 「え?いやでもまだそんな年じゃないはず…」
男 「僕の年を知ってるの!?」
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