大金出して買わない
(未上演短編)
大金出して買わない

記者
経営者
落札者
   
    何もない空間。
    どちらかと言えば狭い方が望ましい。
    箱のようなオブジェが置かれているとしても良い。
    本戯曲では装置としてオブジェがあると仮定する。
    経営者と記者オブジェを見ながら立ち話をしている。


経営者   どういうつもりなんでしょうね。こんな物件に大金を払うなんて。
記者   さぁどういうつもりなんでしょうね。
経営者   取材したんじゃないんですか。
記者   ええ、でも要領を得ないというか。うーん。
経営者   何て言ってたんですか。
記者   いえ、購入した方が言ってたのはただ欲しかっただけという感じなんです。後、自分は変わってるんじゃないかという位で。
経営者   そりゃ変わり者でしょうね。
記者   本来なら大体の店舗の値段はおおよそわかってるのが普通ですからね。
経営者   その倍ですものね。
記者   ええ。
経営者   売買に関する相場勘の無い方だったんですかね。
記者   いやそうでもなくて、逆にしっかりしていましたね。もし転売目的ならこの額では買いませんと仰ってたので。
経営者   は?でもここ倍で落札したんですよ。
記者   落札に関しては、わかっててやったとも言われてましたよ。通常価格の倍を出せばだれも落札できないだろうってどうやらそこまで計算していたようです。
経営者   じゃあ何か目的があったんですかね?外国人の来客を見越してとか。この場所だからできる何か計画とかあってどうしても必要みたいな。
記者   そうでもないようです。別段、そういった事も考えてはいないと断言してましたよ。
経営者   謎。
記者   謎ですよね。本当に。あでも一つだけ何度も言ってましたけど。
経営者   何と言ってたんですか?
記者   でもあまり言いたくないなぁ。本当にありきたり過ぎて。
経営者   いや聞きたいです。それこそ相手の目的というか、考えが分かるかもしれませんし。
記者   多分、無理だと思いますよ。本当に。
経営者   だとしてもいいから教えて下さい。
記者   わかりました。長期保有だそうです。
経営者   長期保有。
記者   はい長期保有です。
経営者   バカにしてる?
記者   本当にそれだけなんです。だから言ったでしょありきたりだって。
経営者   はぁ。
記者   それでこっちだってどれだけ苦労したか。こんなの何の答えにもなって無いし、はぁそうですかって感じですよ。でも取材だから記事にしなきゃいけなんですよ!それが出てきた答えが長期保有だけって。ぶっちゃけ私が信じたくない位で、何か隠してんじゃないか実は。
経営者   わ、わかりましたよ。もう結構です。
記者   いえ、私も興奮して。すいません。でも聞くだけ無駄だったでしょう。
経営者   いや、そうでもないかも。
記者   そうなんですか。私にはさっぱりですけど。
経営者   一つ言える事はバカだって事ですよ。その人は。
記者   はぁそういわれればそうですね。一理あるかも。
経営者   でしょう。そう考えると納得できますよ。

    落札者現れる。

落札者   何かうちの物件に御用ですか。
経営者   あ、いえ別にそういう訳ではなくてですね。
記者   そうなんですよ。
落札者   あ、先日はどうも。余りお役に立てずに。
記者   いえいえ。
経営者   じゃあ、私はこれで。
記者   私も。

    経営者、記者笑いながら退場。

落札者   まぁ、バカかもしれませんね。倍以上払うなんて。でもね。時として人は身の丈を越える程の背伸びをする必要があると思うんですよ。そうする事で得るものがある。例えば。

    落札者、オブジェを操作すると大きな町になる。
    注)オブジェが無い場合「例えば、こんな感じでね」を削除して下さい。

落車者   こんな感じにね。ただ必ず結果につながるとは限らない。でもそれでも得るものはあるんです。それは行動した者だけが知っている。そういう事です。さて、あたなたなどうしますか?


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