伝説の男。
 僕の名前は山田二郎。
 ええ、ご察しの通り・・・次男です。
 父はごく普通のつまらない会社に勤める
 ごく普通のつまらないサラリーマン。
 母は近所のごく普通のつまらないスーパーで
 ごく普通のつまらないパートをしているごく普通のつまらない主婦。
 兄はごく普通のつまらない大学を出て
 ごく普通のつまらない会社に就職しごく普通のつまらない女と
 ごく普通のつまらない結婚をしたごく普通のつまらない兄。
 
 そんな・・・ごく普通の、つまらない家庭で育った僕には・・・
 ごく普通ではない、素晴らしい才能があったのです!
 それは・・・漫画家としての才能です。
 
 この漫画大国、現代のニッポンにおいて、
 溢れかえる漫画作品のほとんどが、ゴミカスです。
 ありきたりで、ご都合主義のごく普通のつまらない漫画。
 まあ、そのなかでも割と頑張っているかなと思う漫画も
 もちろんありますよ?
 そうですね・・・皆さんがご存知かはわかりませんが・・・
 尾田栄一郎という漫画家の・・・ワンピース?とかいう海賊漫画。
 悪くはないですね。絵もヘタではないし、
 物語の発想や伏線の貼り方なんかもまずまずではないでしょうか。
 他の漫画?そうですね・・・
 しまやま?からすやま?あ、鳥山あきらとかいう漫画家の、
 なんだったかな、ボール・・・なんとかボールという作品も、
 結構おすすめですね。
 ちょっとタイトルは思い出せないので、自分でググッて下さい。
 しかしですね、僕は彼らとはレベルが違うのです。
 僕のデビュー作はこのぬるい日本の漫画界に革命を起こすのです。
 僕は・・・伝説になる人間なのですから!
 
 ・・・え?ええ、今はまだデビューはしていません。
 今は、たくさんのアニメや漫画に触れ、
 自分のアイデアをじっくり暖めているところです。
 言うなれば・・・時が熟すのを待っているのです・・・!
 え?いやいや、ニートじゃありませんよ。
 だって僕は漫画家なんですから。
 漫画家がアイデアを生み出す作業が働いていないとでも?
 しかも僕の書こうとしている漫画はすっごいやつですよ、
 もう、なんていうか、その、すっごいやつ!
 ・・・つまり・・・。
 今、まさに伝説を作っていると言っても過言ではありません・・・!
 
 ただ、一つ・・・問題が。
 原稿を書くための、道具がありません。
 お店に買いに行かなくてはならない。
 ネットでは買えません。
 漫画やアニメのDVDを買いすぎて、うちのごく普通のつまらない両親に
 カードを止められてしまったからです。
 しかし、町に出るにも、こんなボサボサ頭では行くことが出来ないから、
 まずは床屋へ行かないといけないし、
 家から出るとなったら一週間ぶりに風呂に入ってさっぱりしたい。
 このように、やらなければならないことが山ほどあるのです。
 それが・・・伝説を作る、ということなのです。
 
 ああ、こうしている間にも次々とアイデアが!
 しかし、今僕が入っている布団の周りに紙とペンがない。
 これではメモがとれず、せっかくのアイデアがまとまらない・・・!
 しかし4月とはいえ布団を出るにはまだ少し肌寒い。
 5月の半ばくらいになったらメモをとることにしよう。
 とりあえず、今日もちょっと脳を使いすぎて、
 疲れがたまってしまいました。
 いったん休息をとることにします。
 まったく、伝説を作るのも楽ではありませんね。
 それではひとまず、おやすみなさい。 
                           ��
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