さよならお姫さま
さよならお姫さま
★ ナレーター、出てくる。(声のみでもよい。)
ナレーター 昔々あるところに、お爺さんとお婆さんが住んでいました。
ある日のこと、お爺さんは竹やぶでピカピカ光る不思議な竹を
見つけました。お爺さんがその竹を切ってみると、なんと中には
小さな女の子が入っていました。
お爺さんはその子を連れて帰り、かぐや姫と名付けました。
かぐや姫はすくすく育ち、やがて美しい娘になりました。
ある日、かぐや姫と結婚したい5人の男達が集まりました。
彼女はこう言いました。
「わたくしと結婚したいのであれば、それぞれ宝をお持ちください。
わたくしの望む宝を持ってきてくれた方と結婚いたしましょう。」
★ 男たち、登場。
男たち 姫の望む宝物、必ずわたしが持ってまいりましょう!
★ 石作皇子(いしつくりのみこ)を残して去る。
石作はぼけーっと立っている。
★ 車持皇子(くらもちのみこ)がやってくる。気づく石作。
イシ あれ?・・・もしかしてクラモチくん?やっぱクラモチ君じゃん!久しぶり!
クラ (ビクッ)あ、ああ。えっと、君はたしか・・・イシツクリ君!久しぶりだね!
イシ あれ以来だなー!姫さまんとこの。
クラ あ、ああ・・・そうだね。
イシ ・・・どうだった?
クラ え?
イシ 見つかった? 宝。
クラ ・・・イシツクリ君は?
イシ あーダメダメ。全然だわ。俺の言われたのさ、仏のミイシの鉢ってやつ
なんだけどね。これどーもインドまで行かないとないらしくてさー。
クラ インド?!無茶言うね姫も!ぼくのは中国だよ、もうムチャクチャだなー。
イシ だろ?もうインドって聞いたらやる気なくしちゃってよー。庭に転がってた
植木鉢もってったら、姫に、これじゃないって言われた。
クラ よくこんなの持ってったね!
イシ 姫、キレ気味だったわー。
クラ そりゃそーでしょー、そんなやる気のない鉢持ってったらさー。
イシ そういうクラモチ君はどうだったんだよ。
クラ 僕は・・・中国にあるといわれるホウライの玉の枝というのを探してこいって
言われたんだ。なんでも、根っこが銀で、茎が金、実が真珠の、
それはそれは美しーい木の枝なんだそうだ。
イシ あるわけねーだろそんなの。
クラ でしょでしょ?!あるわけないんだよそんなの!・・・だから僕はね、
一流の職人たちを集めて作らせた。
イシ わーひきょう。で、できたの?
クラ もう素晴らしいものができたよ!それで僕、さっきそれを姫のところに
持って行ったんだ。そしたら・・・そこに職人たちが来て・・・
報酬まだもらってないって騒ぎだして・・・!
イシ ありゃー。払ってなかったの?
クラ 払ってなかった!払ってなかったけど!何も今日こなくってもさあ!
あいつら、もっと空気をよんでくれてもさあ・・・!!!
★ 右大臣阿部御主人(うだいじんあべのみうし)がやってくる。
アベ あなた達はかぐや姫をだまそうとしたんですね・・・。
イシ ん?誰だお前。
クラ アベちゃんだよ。ほら、彼もあの時の一人の。
アベ あなた達みたいな人がいるから、姫は疑心暗鬼になり、私のことも
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