何の装置?
『何の装置?』
倉持舞子
【登場人物】
楠本…研究員。
村井…研究員。ムラと呼ばれている。
【舞台美術、小道具】
研究施設の休憩室。上手寄りにテーブルと椅子がある。
下手寄りにもう一つ机があり、両手で持てるサイズの機械が置いている。
機械にはボタンや画面、アンテナなど、謎のパーツが色々付いている。
【本編】
村井は上手のテーブルで板付き。雑誌を読んでいる。楠本が上手から入り。
楠本「あーだめだ、全然だめ」
村井「おかえり」
楠本「あのクソ室長」
楠本、持っていた資料を整理しながら会話する。
村井「芳しくなかったようだね」
楠本「芳しかったことなんて一度もないよ。あいついっつも同じことしか言わねーし。何がオリジナリティだよ」
村井「『それでその内容は今までの研究と何が違うのですか、それによるどんなメリットがあるのですか』」
楠本「そうそう、マジで一字一句間違いなくそう言ってたわ、ムラうまい。そしてムカつくからやめて」
村井「今のは私の感想だから」
楠本「は?」
村井「室長はムカつくけど行ってることはその通りよ。楠本、自分で考えたとこあったか」
楠本「考えてますとも」
村井「『ムラ、これどう思う?』『悪くないけどピンとこないな、こうした方がいいんじゃね?』「あ、やっぱり?これ何見ればいい?』『第三研究室に先行研究あったはず』『サンキュー、ムラ、さっそく見てくるわ』これの何がオリジナリティだよ、ほぼ私のアイディアじゃん」
楠本「いやいや、それはあくまでアドバイスでしょ。そのいただいた指針をもとに、私はまとめただけであって。てかそれいったらムラのアイディアにオリジナリティがないってことだけど」
村井「だってそれ全部私のボツ案だから」
楠本「あーごみ食わされてたのかよチキショー(資料で攻撃する)」
村井「やめろバカ」
楠本、下手テーブルの機械に気付く。
楠本「ところであれ何」
村井「さあ」
楠本「あれムラのじゃないの」
村井「発表聞いてなかったのかよ、私のは電子計算システムの応用です。どう考えても違うでしょ」
楠本「いや、電子計算できるかもしれないよ」
楠本、機械に近づいて観察する。
楠本「触っていいのかな」
村井「知らん」
楠本「怒られたら連帯責任だからね」
村井「知らん」
そのまま触ったり、ボタンを押したりする。
楠本「あー、手になじむさわり心地。思ったより軽いです。電源ボタンはどれだ。点かないなー。なんか臭え。アンテナはこれがMAXの長さか?」
村井「思ったこと逐一言わなくていいから」
楠本「ケーブル見っけ、コンセントつないだら点くかな」
村井「点かないよ」
楠本「なんで決めつけるのさ」
村井「試したけど点かなかった」
楠本「え、ムラ触ったの」
村井「部屋入ってすぐ触ったわ。押しても引いても振っても捻っても舐めてもだめだった」
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