お母さんがクラスメートな気がする
お母さんがクラスメートな気がする

 劇団だるい 大島健吾 作

〇人物(登場順)
 晴人       緑川晴人。中学生2年生。母(みのり)を1年前に亡くしている。
 みのり  緑川みのり。晴人の母。1年前に交通事故で亡くなっている。

 死者       お盆に死後の世界から現世に戻るため、役所に手続きをしにきた死者。
 職員       死後の世界の役所の職員。

 先生       晴人のクラスの先生。
 美咲       山口美咲。中学生2年生。晴人のクラスに転校してくる。
 生徒1
 生徒2
 生徒3
 生徒4
 生徒5
 ※舞台上にさらに生徒役が出ていても良い。

〇場面
 季節は春から夏。日本。場所は、死後の世界と、現世の中学校。


〇シーン1(晴人とみのり)

 軽快な音楽が流れ、幕があがる。
 舞台上には、出演者が散らばっている。この時点で、教室の机と椅子は設置されている。
 舞台中央の晴人に明かり。

晴人   僕は、緑川晴人。なぜか、昔からいろんなニックネームで呼ばれる。
生徒1   みどりん、おはよー
晴人   おはよう!
生徒2   みどりちゃん、絶好調~?
晴人   うん、絶好調!
生徒3   はるくん、今日授業終わったら遊びにいこうぜ~
晴人   いいよ~、Switch持ってきてよ!
生徒4   どりはる、消しゴム忘れちゃった~!
晴人   ふたつあるから、使ってよ!
生徒5   おーい、どりはるんりんくる~
晴人   それもはや面影ないよね?
生徒5   あるよ、み「どり」かわ「はる」と。ほら。

 生徒5が、明かりに入ってきて、ゆっくりテヘペロする

晴人   (生徒5にあわせて)テーヘーペーロ、じゃないよ、もう。でも、一番無理があるのは、お母さんの呼び方だ。それは、

 舞台上手、みのりに明かり。晴人の明かりは、そのまま。

みのり   (自信をもって、堂々と)ひょん太郎。

 間。

晴人   「晴人」の面影がゼロだよ?
みのり   面影あるよ! はると、はるちゃん、はるひょん、ひょん、ひょん太郎。ほら!
晴人   ないよ! 人類は、太古の昔は魚だったとかそういう話じゃないんだよ?
みのり   かわいいと思うんだけどなあ、「ひょん太郎」
晴人   って、お母さんはずっと言ってた。……明るくて、優しくて、ちょっと雑で、おっちょこちょいなお母さん。
みのり   ちょっと! ひょん太郎!
晴人   そんなお母さんは、去年の夏、交通事故で父さんと僕を残して、亡くなった。
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