エラッタ・スプラッタ
     とある別荘の一室。リビングとおぼしき場所。大きな柱時計等がある。
     薄暗い室内には、女が一人。背を向けて立っている。
     激しい雨と雷の音。閃光。
     車の走行音とブレーキ音。車のドアの開く 音に続いて、数人の男女の声がする。
 
 平坂  おい、森!死んでも機材濡らすんじゃねぇぞ!
 森   わかってますって!
 ちあき  ちょっと!早く開けてよー。鍵だれが持ってんの!
 あずさ  あああ、私です!すみません、ただ今!
 
     鍵をまわす音。慌てる女。
     扉の向こうに身を隠す。
 
 あずさ  …あれ?
 平坂  なにしてんだ、あずさ!とっとと開けろよ!
 ちあき  ちょっとぉ、鍵まちがえたとか言わないでよね!
 あずさ  いや、あの…鍵、開いてます…
 平坂  だったらさっさとドア開けよ!
 あずさ いや、あの…。
 平坂  あぁっ!?
 あずさ  いえ、ハイ!ただ今!
 
     ドアの開く音。
     暗がりのなかに、数人の男女が入って来る。
 
 平坂  あーひでぇ目にあった。…おい、明かり明かり!
 あずさ  ハイ、ただ今!
     明かりがつく 。
     室内を見回す平坂。
 
 平坂  おー…おお、おお!なかなかイイじゃねぇか!あずさ!ホントにココ自由に
     使ってイイんだな!
 あずさ  あっハイ。おじさんの許可は取ってあります。
 平坂  でかした!
 あずさ  えへへ…
 平坂  こりゃイイぜ…イイ画が撮れそうだ! ひゃっほー!
 
     はしゃぎだす平坂。
 
 ちあき  あーん、もうグショグショ…ねぇー森くぅーん。替えの靴下出してー。
 森   はいはい。
 ちあき  履かせてー。
 森   自分でやって下さいよ。ちあきさん。
 ちあき  ケチー。
 森   はいはい。
 
     森、ちあきに靴下を、あずさにタオルを渡す。
 
 あずさ  あっ、ありがとうございます。
 森   イイところだね、あずさちゃん。平坂さんも喜んでるし、お手柄だよ。
 あずさ  いえ、私なんか何も!たまたまおじさんが別荘持ってて、自由に使ってイイって
     言ってくれて…
 森   僕達みたいな映画を撮ってると、なかなか撮影許可だしてくれる所もないから…。
     あずさちゃんが僕らの仲間に加わってくれて、ホント、助かってるよ。
 あずさ  いや、そんな…えへへ…
 ちあき  ねー、森くぅーん。
 森   はい?
 ちあき  この靴下かわいくないー。
 森   贅沢言わないで下さいよ。じゃあ私服の着替え履いたらイイじゃないですか。
 ちあき  私の荷物、ノロちゃんの車に積んじゃったもーん。…ノロちゃんたち遅いね?
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