タコ、一騎討ちでタコ殴り
タコ、一騎討ちでタコ殴り
星水慕
登場人物
主人公蛸
敵蛸
老蛸
殴られる主蛸
主蛸 ぐはっ
敵蛸 お前、そんな強さで縄張りを守れると思ってるのか?
主蛸 あいつは俺にそう言って、唾代わりの墨を吐きかけてきやがった。俺はタコ。手負いのタコだ。手負いとかそういうレベルじゃない。腕を七本失った。
しかし、俺はタフなタコ。タフタコだ。俺の辞書に敗北という文字はない。あったとしたら自慢の墨で消してやる。青空の下で消してやる。あいつに絶対、復讐してやる。そして縄張りを取り返すんだ。
主蛸 この海のどこかには義触を作ってるやつがいると聞いたことがある。まずはそいつを訪ねよう。腕も縄張りも無くなった俺に、もう失うものはない。いざ、海の旅。決死の覚悟だ。
蛸、大移動中
主蛸 No!!!私食べてもおいしくないネ!足ない、食べ応えないヨ!
鮫に追われています。たぶんイタチザメ。勘弁してよ、ほんと。
ぬわっ!あぶねぇ!おい!岩陰から急に出てくんな!メバル!
あ、メバル食われた。この隙に岩陰に。
うおっ!そこにいらっしゃいましたか、ウツボさん。
ご勘弁~!
主蛸 この辺りに義触職タコが居ると聞いたんだが・・・・・・
ん?あのタコ、ちょっと年季が違いそうだぞ。
主蛸 すいませーん
老蛸 なんじゃ、お前。いや、言わんでも分かる。義触の依頼じゃな。儂ぐらいの歴になるとな、分かるんじゃよ
主蛸 分かるも何も。俺、腕が一本しかないんだって。これで義触じゃなかった何だってんだ。
老蛸 にしても、その腕でよくここまで来れたの。大したもんじゃ。
主蛸 苦労しました。
老蛸 よし、作ってやろう。すぐに完成させるから、少し休んでおれ
主蛸 そう言って職タコは岩陰の奥に隠された巣に入っていった。
そこには辺り一面にディスプレイされた木材と石、プラスチック。蔦や紐。
老蛸 すごいじゃろ。儂が集めたんじゃよ
主蛸 全部義触に使うために?
老蛸 そうじゃ
主蛸 このタコは本物の職タコなんだ。ここで作った義触なら、あいつにも勝てるかもしれない。
老蛸、制作中
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