バカは死んでもなんとやら
(人物一覧表)
天使(?)…元人間の天使
斉藤 真(24)…クズ男
伊瀬 葵(22)…ギャル
宮部 恭太郎(42)…博士
尾田 隆文(21)…根暗大学生
〇あの世
三人の男女と天使が集まっている。
天使「あと一人、まだ来てないようですね」
と、そこへ隆文が。
隆文「あ、あのぉ。すいません。転生課はこちらでよろしかったでしょうか?」
天使「はいはい、合ってますよ」
隆文「よ、良かった。いやね、迷子になっちゃって。いや大学生にもなって迷子って、お恥ずかしい話なんですけどね、どうも道が分かりにくくてですね、それで」
天使「あー、はいはい、分かりましたから」
隆文「え、あ、すいません」
葵「早くしてほしいンですけどォ」
隆文「ひぃ」
天使「はいはい、では皆様、まずは自己紹介の方から。私は死者管理事務局転生課の第六十三号天使、アンスロポス・マルアーク・アイオーン・レナトゥスと申します」
真「アンスロ……え、何ですって?」
葵「わけわかんないンですけど」
恭太郎「ギリシャ語、ヘブライ語、ラテン語をごちゃまぜにしている。おかしな名前だ」
天使「よく言われます」
恭太郎「気になるのはアンスロポス、つまり人間という意味だが。天使ではなかったのか?」
天使「私は元人間なんですよ。あなた方人間と交流しやすいように、特に人と関わる部署には元人間の天使を配置しておりまして」
恭太郎「なるほど」
葵「何がなるほどなのかさっぱりなンですけど。なんか偉そうだし」
恭太郎「ふん。実際に偉いのだ。博士だからな」
真「もうちょっと呼びやすい名前だと楽なんですけど」
天使「私のことは単に天使と呼んでいただければ」
葵「最初からそうしろって話だしィ」
真「まぁまぁ」
天使「私の仕事は貴方たちがちゃんと生まれ変われるか見送るのことです。転生課の名のごとく」
真「見送る、だけ?」
天使「はい」
葵「めっちゃ楽そう」
天使「さて、それでは……。まずは点呼を取らせていただきます。一人ずつお名前と亡くなった時の状況を確認していきます」
葵「えー、めんどくさァ」
天使「一応、規則ですので。ではまず、斉藤真さん」
真「はい」
天使「享年二十四歳。突如発生した事態を解決しようとして死亡。最期の言葉は」
真「俺、帰ったら幼馴染と結婚するんだ」
隆文「死亡フラグだ!」
葵「やだ。ちょっとカッコイイかも」
天使「次は伊瀬葵さん。享年二十二歳。観光地でサメに襲われて死亡。最期の言葉は」
葵「マジ超あり得ないンですけど。ぶっちゃけサメとか余裕っしょ」
隆文「またしても死亡フラグ」
恭太郎「サメだと……?」
天使「次は宮部恭太郎さん。享年四十二歳。自分が開発した実験動物に捕食され死亡。最期の言葉は」
恭太郎「き、貴様、創造主たる私に何をする!」
隆文「これもまた香ばしい死亡フラグだなぁ」
真「マッドサイエンティストってやつですね」
天使「次に尾田隆文さん。享年二十一歳。心霊スポットとなっていた洋館にて、ポルターガイストに巻き込まれて死亡。最期の言葉は」
隆文「こ、こんな危ないところにいられるか! 僕一人だけでも逃げてやる! ……あ、うん。僕もたいがい死亡フラグ立ててたな」
天使「以上、四名」
真「なんだか皆さん。何でしょう、まるで映画みたいな死に様ですね」
恭太郎「科学者たるもの劇的に生きて劇的に死ねばなるまい」
葵「そーゆー真だってすっげェかっこいい死に方じゃん?」
真「いやぁ、それほどでも」
隆文「それに比べて僕は。情けないなぁ」
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