一夏限定契約彼女
一夏限定契約彼女
〇登場人物
布村草汰 男。
矢羽瑞帆 女。
・瑞帆の部屋。外から入って来る草汰と瑞帆。
草汰 暑ぃ〜…
瑞帆 暑いね…
草汰 はぁ〜もう〜エアコンエアコン…
瑞帆 うっわ、外、35度過ぎだって。そりゃ暑いわけだ。
草汰 あぁ〜もう地球温暖化クソすぎない?冷房化しろ、冷房化。
瑞帆 それ言うならせめて寒冷化じゃない?
草汰 そうか?まぁ何でも良いよ。
瑞帆 いや、良くないでしょ。
草汰 細かいなぁー、あ、うちわ取って。
瑞帆 ダメ、これ1個しか無いんだから。こっちのチラシで我慢しなさい。
草汰 ケチ〜こんなんで涼めるわけ…うん?
瑞帆 ……。
草汰 花火大会…あ〜そういや、もうすぐか。
瑞帆 …そうだね。
草汰 ったく、何が楽しくて皆あんな人混みの中に…
瑞帆 草汰だって昨年行ったじゃん。
草汰 覚えてないなー、
瑞帆 元カノと。
草汰 覚えてないなあ!!!
瑞帆 ごめんて。
草汰 余計なこと思い出させやがって…そう言う瑞帆は行ったことあんのかよ。
瑞帆 別に。
草汰 いや、別に、じゃねえよ。答えになってないからそれ。
瑞帆 うるさいなぁ。別に良いでしょ、何だって。
草汰 いいや、許さん。僕のことはいじって来ておいて…
瑞帆 じゃあさ、
草汰 あ?
瑞帆 草汰が私と一緒に行ってよ。
・暗転。
草汰 全く…我ながら馬鹿な提案を受けたな、と思う。どうせあれだ、あまりの暑さで頭が茹で上がって馬鹿になっちゃったんだ。うんうん。そうに違いない。でなきゃ僕が瑞帆と……。ああもう、夜になったら少しは涼しくなるかと思ったのに。相変わらず人も多いし…だから来たくなかったんだよ僕は……はぁ…でも……でも今夜は
・花火の音。刹那、花火の光が2人を照らす。
・花火を見上げ、楽しそうな表情をする瑞帆。草汰はその表情に釘付けになる。
草汰 s
瑞帆 (草汰の方を向き、)うん?
草汰 (ハッと口を押さえて、)…!いや、別に…
・再度、暗転。
草汰 僕は、きっと、…恋をした。
・花火が何度か上がり、光が2人を照らす。
・その度に草汰が瑞帆を横目でチラチラと見る様が映し出される。
・少しして、照明が瑞帆にフォーカス。胸を押さえている。
・花火が連続して上がる音が、徐々に心臓音へと変化。
瑞帆 …さっきから聞こえるこの音が、どうか花火の音でありますように。…私は、花火を見てる。この大きい音も、きっと花火の音。(草汰の方をチラリと見て、)…草汰に、…聞こえてないよね?
・2人の視線が合う。思わず瑞帆が目を逸らす。
瑞帆 …ダメ。…ダメだから。本気になっちゃダメ。…だって私は…私は…
・瑞帆、胸を押さえたまま蹲る。
・花火の音。即暗転。
瑞帆 一夏限定契約彼女だから。
・回想。部屋。
瑞帆 草汰が私と一緒に行ってよ。
草汰 は……え?
瑞帆 別に良いでしょ?
草汰 いや、…それって。
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