メメント・モリのエトランゼ
メメント・モリのエトランゼ
【登場人物】
ニコレット=エルヴィユ
女性。十四歳。どこか影のある天涯孤独の少女。『時計守』の力を持つ。
ブランシュ
(恐らく)女性。年齢不詳。時計塔の妖精を自称する人外。性格が悪い。
アレクサンドル=クローズ
男性。二十一歳。クローズ時計店の職人見習い。
グレース=エルヴィユ
女性。(享年)四十歳。三年前に他界した故人。ニコレットの母で先代『時計守』。
ドナルド=ロベール
男性。四十九歳。ラ・ショー・ド・フォン市長。
エミール=マルセル
男性。二十六歳。ドナルドの付き人。元孤児。
マノン=ミュラトール
女性。二十歳。市立図書館の司書。アレクサンドルとは幼馴染で友人。
カロリーヌ=エルヴィユ
女性。四十六歳。ニコレットの叔母で主人。オルロージュ商会の渉外係。
【序幕】
♪『くるみ割り人形』よりこんぺいとうの精の踊り
舞台の幕が上がる
舞台下手側にブランシュ板付き
ブランシュ 「Hickory, dickory, dock
The mouse ran up the clock.
The clock struck one.
The mouse ran down.
Hickory, dickory, dock.」
ブランシュ、舞台上に舞い降りる
ブランシュ 「あぁ、今日は月夜だったのね」
「ラ・ショー・ド・フォンで生きていくのに決して破ってはいけない掟を破る莫迦(ばか)はいつになっても消えないのね。厭(あ)き厭きしちゃうわ」
「『一つ、時計は自身の亡骸と共に棺に納めなければならない。
二つ、いかなる理由があっても他人の時計を所持してはならない。
三つ、月夜に時計のゼンマイを回してはならない』
……はぁ、こんなに容易なことも守れないなんて、人間って、とっても愚か!」
ブランシュ、窓の外を覗き込む
ブランシュ 「あら?珍しい客人もあるものね」
「いや……あの娘は…………」
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