ファイト・オン・ステージ
ファイト・オン・ステージ
キャスト   緒方  比呂   文化祭実行委員
       林城  美月   文化祭実行委員
       保木本 虎太郎  緒方・林城のクラスメイト
       荻野  琴    緒方・林城のクラスメイト
         
  学校は文化祭準備中。本日は外部ホールでのリハーサルとなっており、各団体には楽屋が用意されている。
  舞台は有志団体の控室。各出演団体の荷物があちこちに置いている。
 
  SE・ドアの開く音
 
  虎太郎がそろりと楽屋へ入る
 
 虎太郎 「(あたりを見渡して)……誰も、いませんかー…?」

  虎太郎は机の下や姿見の後ろ、果てはゴミ箱の中まで見て誰もいないことを確認する。

 虎太郎 「(安堵のため息)……よぉーし」

  机の上にiPadを置き、動画を見始める。可愛らしいアニメの曲が流れる。動画の動きに合わせてだんだん虎太郎も体を動かし始める。叫ぼうとしたタイミングで女子の話し声が聞こえてくる。

 虎太郎 「やばっ」

  虎太郎、急いで動画を止めて姿見と衣装かけの後ろに隠れる。林城と緒方が入ってくる。

 林城  「あれ?誰もいなくない?比呂、有志団体の楽屋ってここだよね?」
 緒方  「有志団体は楽屋Cって実行委員の紙に書いてたよ。一番端っこの楽屋なんだなって思った記憶ある」
 林城  「まあ、確かになんか色々荷物は置いてあるね」
 緒方  「あ、奥の方は演劇部のやつかも。楽屋Bに入りきらなかった分は楽屋Cに置くって言ってたから」
 林城  「そうなの?じゃあ混ざらないようにしないと」
 緒方  「でもどこからが演劇部のかわかりにくいなあ…」
 林城  「もうすでに小道具とか混ざってたりして(遊んでクイズの〇×棒の〇を鳴らす)」
 緒方  「まさか。演劇部さっき舞台袖で準備してたし、使うやつここにあったらまずいでしょ」
 
  机や床には衣装や手品の道具、刀などがごちゃごちゃと置かれている。
  林城が机にあるものをいくつか触る。

 林城 「見てこれ。手品とかで使いそう」
 緒方 「マジッククラブのかな?あの、大川君と濠田君がやるやつ」
 林城 「あ!すごーい刀あるよ、刀!」
 緒方 「本物みたい…って、勝手に触っちゃダメでしょ」
 林城 「これどこの団体の?」
 緒方 「んー…マジッククラブ以外はクイズ同好会とダンスとかだったから…それも手品で使うんじゃない?」
 林城 「あー、あるよね。腹切るやつ」
 緒方 「人体切断マジックのこと?」
 林城 「それそれ。あとは…何これ?お面?」
 緒方 「お祭りのときとかでみるやつ」
 林城 「何かのアニメ?」

  虎太郎、こっそり姿見の後ろからお面を見る。プリキュアのお面を見てテンションの上がる虎太郎。

 緒方 「あー、あれじゃない?プリキュア」
 虎太郎「(激しく頷き、手で丸を作る)」
 緒方 「キュア何かはわかんないけど」
 林城 「だね。あんまりこういうの詳しくないからなあ」
 虎太郎「(悔しがる。動作がやや大きい)」

  SE・物音(虎太郎が実際に音を出してもよい)
  虎太郎、すぐに隠れる。
  緒方・林城が姿見の方を振り向くが気づかない。再び、二人の注目はお面へ。
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