原稿はどこだ(ロングバージョン)
原稿はどこだ(ロングバージョン)
人物
安達 漫画家
梶原 そのアシスタント
板垣 編集者
舞台は漫画家、安達の仕事場。安達と梶原が登場。
梶原 「じゃあ次の原稿は水曜日から取り掛かるのでいいんですね?」
安達 「うん。それまではゆっくりしてて。ごめんね。ここ数日無理させちゃって」
梶原 「いえ。無事に今日原稿を渡すことができて良かったです」
安達 「板垣さん驚いてたね」
梶原 「そりゃそうでしょう。いつも〆切ギリギリの先生が、3日も早く原稿を仕上げたんですから」
安達 「やればできるもんだね。すっごい疲れたけど」
梶原 「ゆっくりお休みに・・・は、なれないんですよね」
安達 「そうなんだよねえ。忙しくてまいっちゃうよ」
梶原 「頑張ってくださいね」
安達 「やだなあ、頑張るとかそういうんじゃないから。まあとにかく、お疲れ様でした。水曜からまたよろしく。帰り、気を付けてね」
梶原 「大丈夫ですよ、すぐそこですから」
安達、去ろうとして立ち止まる。
安達 「・・・あのさ。大丈夫だったよね?」
梶原 「よくまとまってたと思いますよ」
安達 「そうだよね」
安達、去る。
梶原 「帰って、少し寝るか」
そこに板垣が登場。
板垣 「梶原さん」
梶原 「あれ、板垣さん。どうしたんです?忘れ物ですか?」
板垣 「いや、あの、そういうわけではないんですが・・・」
梶原 「先生、呼んできますか?」
板垣 「いや、それはちょっと待ってください」
梶原 「え?」
板垣 「・・・」
梶原 「何かあったんですか?」
板垣 「あ、いえその。なんと申しましょうか」
梶原 「・・・板垣さん。自首するなら早いほうがいいですよ」
板垣 「ちょ、ちょっと待ってください。何ですか?自首って!」
梶原 「犯罪に手を染めたんじゃないんですか?」
板垣 「違いますよ。私は法に触れるようなことは一切していません!」
梶原 「ということは、法に触れないことで何かやらかしたんですね?」
板垣 「あ、ええと」
梶原 「・・・板垣さん、封筒は?」
板垣 「え」
梶原 「原稿を入れた封筒。お渡ししましたよね」
板垣 「・・・」
梶原 「まさか」
板垣 「すいません!なくしました!」
梶原 「なくしたって」
板垣 「いや、違うんです。わざとじゃないんです」
梶原 「当たり前ですよ。どこでなくしたんですか?」
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