SIDE SIDE SIDE
ある演劇部の日常
「SIDE SIDE SIDE
   ある演劇部の日常」



登場人物
・サオリ(さおりん)演劇部部長
・ムツキ(むっちゃん)演劇部副部長
・コズエ(こずん)演劇部員
(劇中劇)
・シホ:リーダー的な存在・肉体派
・ルカ:頭脳派
・ユミ:ゴスロリを着ている少女







   照明がつく。
   演劇部の部室。
   本棚には歴代の公演の台本や演劇のハウトゥー本が置いてある。
   サオリ、ムツキ、コズエがいる。

サオリ「(頭を抱えて)まずい。ひじょーにまずい!」
コズエ「なに、どしたの、さおりん」
サオリ「三年生が引退して、もう私たち二年生が三人しかいないのに、一年生が一人も入ってこない」
ムツキ「このままじゃ廃部かもね」
サオリ「ぎゃああ。やめて、むっちゃん。恐ろしいこと言わないで」
ムツキ「ごめん」
サオリ「そんなことになったら部長である私の責任だよ。先輩たちに顔向けできない」
コズエ「新入生歓迎公演は結構いい感じだったのにねえ」
サオリ「確かに。確かにいい感じだった……カーテンコールであんたが馬鹿みたいに大号泣するまでは」
コズエ「そうだっけ?」
サオリ「そうだよ! 先輩に花束渡すとき、あんたがアホみたいに泣くから、みんなドン引きしちゃったんじゃない」
コズエ「だって感極まっちゃったんだもん。もう先輩たちと一緒の舞台に立つことないんだなって思ったらさあ」
ムツキ「あれは迷子の三歳児みたいな泣き方だったもんね。当の先輩たちだって引いてたと思うよ」
コズエ「むっちゃんまで。ひどいよー」
ムツキ「とにかく何か手を打たないと」
コズエ「屋上から三人で叫ぶ? 青春って感じで」
ムツキ「演劇部サイコー! とか?」
コズエ「そうそう。君の心を解き放て! とか」
サオリ「却下! むっちゃん、いいアイディアない?」
ムツキ「演劇体験ワークショップなんかいいんじゃない? あとはミニ公演とか」
サオリ「ワークショップか」
コズエ「ワークショップいいじゃん。楽しそう」
サオリ「内容は?」
ムツキ「まずは簡単なシアターゲームかな。あとはエチュードとか」
サオリ「エチュードかあ。即興芝居はちょっと難しくない?」
コズエ「ええー。やろうよ。楽しそうじゃん」
ムツキ「設定とかルールとかある程度決めてやれば大丈夫じゃない」
コズエ「うんうん」
サオリ「それもそうか。でもガチガチに決めるんじゃなくて、ある程度自由な感じでできたらいいよね」
ムツキ「うん。演技の面白さを知ってもらえるようなプログラム考えようか」
サオリ「普段の自分とはちょっと違う自分が出せるようなやつがいいかも」
ムツキ「分かった。考えてみる」
コズエ「よーし。わくわくワークショップ大作戦、がんばろー」
サオリ「何その作戦名。ださ」
コズエ「そんなことないよ。ね、むっちゃん」
1/12

面白いと思ったら、続きは全文ダウンロードで!
御利用機種 Windows Macintosh E-mail
E-mail送付希望の方は、アドレス御記入ください。

ホーム