恋のかいじゅう
恋のかいじゅう 
(脚色・改変:小説「恋のかいじゅう」りん檎 作) 
 
風間陵介 
(M…モノローグ)
柳田愁斗 
山縣未果 
保母さん 
 
目次

はじめに 
S1 
S2 
S3 
S4 
S5 
S6 
S7 
 
S1  
 
M風間
僕は、この世に生まれた時から、かいじゅうだった。物心ついた時には、自分がかいじゅうであることに気付いていた。 
かいじゅうというと、体が大きくて、大きな尻尾もあって、時には火を吐くドラゴンのようなイメージを持つ人が多いと思う。だけど、僕の見た目は、まさにどこにでもいそうな男子高校生。 
しかも肌が白くて、思いっきり根暗なやつときた。誰も僕がかいじうだなんて考えないから、今まで、僕の正体を誰かに気づかれたことはない。僕がかいじゅうだって誰かに認められたなら、きっとかいじゅうのイメージを、根本から変えてしまうだろうな。 
幕が上がる。夜。勉強机と二台のベッドがおいてあり窓、屋根(のび太の部屋の窓と屋根のイメージ、)がある。。 

風間

勉強机に向かっている。肩の力を抜き、ペンを置いて、そっと椅子の背もたれに横たわり、一息をつく。 
「かいじゅうはきっと、僕一人なわけはないと思う。それで、もし僕が、それこそガツガツしたクラスの人気者だったとするなら、「君もかいじゅう?」とかクラスメイトに聞けるだろう。ああ、でも、人気者でありたかったなら、そんなことはしないかもしれない。だとしたら…あのガツガツしたクラスの人気者の彼も、かいじゅうなんだろうか?不安で、ちょっと気になって、でも怖いんだ。」 


 
柳田

手を挙げながら風間に近づいてくる。 
「おぉい、りょーちゃん、ただいまー」 

風間

椅子に座ったまま振り返り、応じて手を挙げ、立ち上がる。 
「あっ、愁斗おかえり、今日もお疲れ」 

柳田

「ありがと」 
小さく手を挙げる。 

風間

「今日の夜ご飯はシチューだよ」 

柳田

サッカー部から帰ってきて、荷物を片付ける 
「ちぇ、今年から来たあの保母さんシチューばっかじゃないのか、口癖もうるさいし。まーぁ、まーぁ、って」 

風間
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